連載:球団別プロスペクト&現役ドラフト注目選手

【現役ドラフト】注目投手14人を紹介 新制度はくすぶる選手のターニングポイントとなるか

データスタジアム株式会社

【データ提供:データスタジアム】

 マクガフや清水昇を筆頭とした強力リリーフ陣を形成し、2年連続でセ・リーグを制したヤクルト。5年目の大下佑馬は、一軍での登板が10試合にとどまるも、二軍では12試合の登板で被打率.188、防御率0.64をマーク。7月中旬から公式戦の登板がなかったものの、抜群の安定感を見せていた。今季で30歳を迎えた大下にとって、来季は勝負のシーズンとなるだろう。

 移籍3年目の阪神・小林慶祐は、右肘のコンディション不良で春先から離脱するも、二軍では21試合の登板で防御率1.23をマーク。8月の一軍昇格後は10試合に登板し、安定したピッチングを披露した。2021年には一時的に勝ちパターンも担っており、ポテンシャルの高さは証明済みだ。阪神は今季12球団トップのチーム防御率2.67を記録するなど投手陣の質の高さが知られているだけに、一軍で結果を残している小林も他球団からの注目を集めそうだ。

 昨季に23試合連続無失点を記録した巨人・大江竜聖。今季は二軍で38試合に登板し、奪三振率はリーグ屈指の11.57をマークした。さらに左打者に対しては被打率.152を記録するなど、強みを発揮している。同じくサウスポーの戸根千明は、一軍での登板がわずか9試合にとどまるも、二軍でチームトップの44試合に登板。持ち前のタフネスさを見せた。チーム内では高梨雄平、今村信貴が左のリリーフとして地位を確立しつつある。激しい競争に身を置く大江や戸根も、環境次第で一軍の戦力となれる可能性は十分にある。

 今季は一軍登板が0に終わった広島・高橋昂也だが、二軍では12試合の登板で防御率2.26を記録。コンディション不良による離脱もありながら、安定した成績をマークしていた。先発左腕を求める球団であれば、ローテーション入りをつかむ可能性は大いにあるだろう。11年目の一岡竜司は一軍で10試合、二軍では28試合に登板し、いずれも防御率2点台を記録。各球団で速球派のリリーバーが頭角を現す中、持ち前の投球術でブルペン陣に食い込めるか。

 かつてはクローザーの役割を担っていた中日の鈴木博志は、5年目の今季から先発に転向。二軍では16試合に先発し、8月以降は防御率1点台を記録。一軍でも2試合で先発マウンドに上がるなど、変化球中心となった投球スタイルが実を結びつつある。モデルチェンジした剛腕は、先発の枚数を増やしたい球団にフィットするかもしれない。

総括

 二軍でアピールを続ける有力な投手を見てみると、先発からリリーフへの転向や投球フォームの変更など、プロ入り時からプレースタイルを変えた選手が多い印象を受けた。プロ野球という厳しい世界を戦い抜く上で、自身のプレースタイルの変化は選手にとって大きな転機となり、結果として飛躍を遂げた選手は数多くいる。また、環境の変化も前述の転機の一つとして挙げられるだろう。現役ドラフトがそのターニングポイントとなるのか、それとも現在のチームで活躍の場をつかみ取るか、各選手の行方に注目したい。

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