“かなだい”が感じた、トップチームの気迫 3回目のNHK杯で得た自信と課題

沢田聡子

課題は滑り込みと体力作り

成長を見せつつも、新たな課題も持ち帰った二人。さらなる磨きをかけ、全日本選手権に向かう 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 ジャンプがないこともあって技術面での成否が目立ちにくいアイスダンスは、順位を一気に上げることが難しい種目だといえる。しかしこのNHK杯では、昨季世界選手権9位のベテランカップル、ロランス・フルニエ・ボードリー/ニコライ・サアアンスン(カナダ)が、同大会銅メダリストのマディソン・チョック/エバン・ベイツ(アメリカ)を上回り、グランプリシリーズ初優勝を果たしている。番狂わせともいえる結果もうなずけるようなフルニエ・ボードリー/サアアンスンの圧倒的な滑りは、アイスダンスでも各大会でみせたパフォーマンスに対する正当な評価を得られることを証明してくれた。もちろん、村元/高橋にもその扉は開かれている。

 今一番大事だと感じていることを問われ、村元は「一言で言うと、滑り込み」と答えている。

「リズムダンスはまとまったのですが、フリーの方が正直まだ数をこなせていないので、練習の面では追い込みというのがまだまだ」(村元)

 加えて、高橋は体力面での課題を挙げた。

「スケートアメリカ、デニステン・メモリアル(・チャレンジ)の時はいい具合にできたのですけれども、このNHK杯は(日本の)お客さんの前で、緊張感がすごく高い。緊張感も加わってより一層体力も奪われる、というところを今回は実感したので、『その中でも出し切れるような体力づくりが必要だな』と思いました」(高橋)

 11月の札幌で世界トップチームと同じ氷上に立った“かなだい”は、さらに滑りに磨きをかけつつ、12月末に大阪で行われる全日本選手権に向かっていく。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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