連載:プロ野球ドラフト史「全12球団“ヒット指名”ランキング」

会心のドラフト指名・ソフトバンク編 育成ドラフトから生まれた黄金バッテリー

間淳
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高校卒業後に野球を続けるかどうかも迷っていたという甲斐(左)の獲得は、まさに会心。18年日本シリーズでは6連続盗塁阻止と自慢の強肩を披露し、育成ドラフト出身選手として初のMVPに 【写真は共同】

 各球団がこれまでにドラフト指名した選手の中で、一番の“ヒット”だったと言えるのは誰か。無名の選手や他球団の評価が低い選手の才能を見抜き、のちにチームに大きく貢献することになる金の卵を手に入れた「成功例」を識者に挙げてもらい、順位づけもお願いした。ソフトバンクではやはり、育成ドラフト出身の黄金バッテリーがひと際目を引く。

10位:川﨑宗則(99年ドラフト4位/内野手/鹿児島工)

 入団後は人気、実力の両面でチームの顔と言える存在となり、メジャーでもプレーした川﨑が、ドラフト4位と下位指名だったのは意外に感じる人も多いだろう。高校時代から足の速さと肩の強さは際立っていたが、当時はまだ甲子園出場経験のなかった鹿児島工(2006年夏に初出場)でプレーしていたため、注目度はさほど高くなかった。

 高卒4年目で遊撃手のレギュラーを掴むと、翌04年に最多安打と盗塁王のタイトルを獲得。ゴールデングラブ賞とベストナインにもそれぞれ2度ずつ輝いている。メジャーではトロント・ブルージェイズなど5年間で3球団を渡り歩き、計276試合に出場。持ち前の明るさでファンから愛された。WBCにも06年、09年と2大会連続で出場し、日本代表の連覇に貢献している。

9位:本多雄一(05年大学・社会人ドラフト5巡目/内野手/三菱重工名古屋)

走攻守の三拍子がそろったと本多(左)と川﨑(右)も下位指名から大成した代表格。本多は3歳年上の川﨑と二遊間を組むことを目標に掲げ、それを実現した 【写真は共同】

 04年オフに井口資仁、05年オフに城島健司が相次いでメジャーに移籍して打線の迫力を欠くなかで、その走力はソフトバンクの新たな武器となった。

 二塁手のレギュラーを掴んだプロ2年目にリーグ2位の34盗塁。10年は59個、11年は60個の盗塁を積み上げて、2年連続で盗塁王のタイトルを手にしている。プロ13年間で通算342盗塁は歴代21位タイだ。さらにゴールデングラブ賞を2度受賞した守備でもチームに大きく貢献。下位指名から長年にわたって主力を務めるまでに化けた象徴的な選手と言える。
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著者プロフィール

1980年2月14日、新潟県出身。スポーツ紙、テレビ局勤務を経て独立。スポーツ紙ではヤンキースや楽天を担当した。現在はスポーツを中心としたライティングや、マネージメント業を行っている。

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