今年も小倉代替の中京記念を分析する

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【2021/7/18 小倉11R 中京記念(G3) 1着 3番 アンドラステ(1番人気)】

サマーマイルシリーズの第2戦・中京記念。例年はその名の通り「中京」競馬場の芝「1600m」で争われるレースだが、京都競馬場改修の影響で一昨年は阪神競馬場の芝1600m、そして昨年は小倉競馬場の芝1800mで代替された。今年も小倉開催のため傾向を探るのは難しそうだが、今回はこの中京記念をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。

昨年の中京記念(小倉芝1800m・12頭立て)の結果

■表1 【昨年の中京記念(小倉芝1800m・12頭立て)の結果】

まず表1は、今年同様に小倉で代替された昨年の中京記念の結果である。12頭立てで1〜3着は3→8→11番(3→6→8枠)の順。勝ったアンドラステは好位のインから抜け出し、2着には4コーナー大外から伸びたカテドラル。そして3着には後方から直線は内を突いたクラヴェルが入った。この小倉芝1800mは基本的には先行有利だが、今年2月の小倉大賞典でもカデナが4コーナー15番手から3着まで追い込んでおり、逃げ・先行勢ばかりを重視するのは避けたい。 .

人気別成績

■表2 【人気別成績】

続いて表2は、中京記念過去10年の人気別成績である。注目したいのは5〜7番人気で【6.6.2.16】複勝率46.7%、単複の回収率223%、162%を記録している。小倉で行われた昨年も、2着のカテドラルが6番人気、3着のクラヴェルが5番人気だった。

年齢別、性別成績

■表3 【年齢別、性別成績】

年齢別では5歳が【6.7.3.47】で複勝率25.4%などの好成績をマークしている。次いで6歳が7頭好走し、単複の回収率も80%台と悪くない。意外なのは4歳が連対なしに終わっていることで、7歳以上も苦戦傾向だ。なお、昨年の1〜3着は牝5→牡5→牝4。今年も5歳馬重視でいいだろう。また、一昨年まで劣勢だった牝馬が昨年は馬券圏内に2頭食い込んでいるため、性別については表3の数字を鵜呑みにするのは避けたい。

ハンデ別成績(牡・セン馬)

■表4 【ハンデ別成績(牡・セン馬)】

表4は牡・セン馬に限定したハンデ別の成績である。好走が多いのは56〜57キロで、計【5.6.5.46】複勝率25.8%になる。また、52キロの2連対は今年登録がない3歳馬が記録したもので、53〜54キロは不振。4歳以上の牡・セン馬なら55キロ以上を課されるくらいの実績は欲しい。なお、牝馬は52キロと54キロが2頭ずつ、そして55.5キロが1頭好走している。昨年は牝54→牡56→牝52の順だった。

前走クラス別成績

■表5 【前走クラス別成績】

前走のクラス別で好走馬が多いのはオープン特別組、好走確率が高いのはG2組だ。ただ昨年は表1にあったように、1、3着馬の前走はマーメイドS(G3・芝2000m)で、2着馬の前走は安田記念(G1・芝1600m)。前走G2組は出走がなく、オープン特別組の最先着馬は5着のロータスランド(前走米子S1着)だった。

前走重賞からの3着以内好走馬

■表6 【前走重賞からの3着以内好走馬】

前走重賞からの3着以内好走馬は表6の13頭で、全馬が本競走では7番人気以内だった。前走着順はG1なら不問。G2〜G3なら7着以内が条件で、特に前走4〜7着馬が【2.1.3.10】複勝率37.5%と安定している。前走1〜3着馬は【0.0.1.3】、前走8着以下は【1.0.0.25】。2013年のフラガラッハは前走G2・15着から大きく巻き返したが、同馬は前年の本競走優勝馬だった。なお、昨年は前走4着(牝G3)→12着(G1)→2着(牝G3)の順で決着している。

前走オープン特別からの3着以内好走馬

■表7 【前走オープン特別からの3着以内好走馬】

最後に表7は、前走オープン特別からの3着以内好走馬16頭である。この組で注目したいのは前走人気で、前走1〜2番人気馬が【1.3.2.8】で複勝率42.9%の好成績。昨年はオープン特別組の好走はなかったが、最先着(5着)のロータスランドは前走の米子Sで2番人気の支持を受けていた。そして、前走9番人気以下だった馬が【3.4.1.19】同29.6%を記録し、単複の回収率は674%、266%。一昨年18番人気で優勝したメイケイダイハードなど2桁人気の好走馬5頭中4頭は、この「前走オープン特別9番人気以下」から出ており、穴党なら特に注目したいところだ。

【結論】

冒頭でも触れたように今年の中京記念は昨年に続き小倉芝1800mで代替されるが、コースとあまり関係なく狙ってもよさそうなのは5歳馬(表3)だ。昨年の結果(表1)も踏まえると、人気サイドなら前走マイルG1(ヴィクトリアM10着)のミスニューヨーク。穴っぽいところなら2000mのG3(七夕賞7着)から距離短縮になるモズナガレボシが挙げられる。加えて過去10年で好走確率が高かったG2組(表5)では、前走マイラーズC3着がデータ的にはやや走りすぎ(表6本文)の感もあるが、ハンデ56キロ(表4)のファルコニアにチャンスがありそうだ。

ほかに、穴馬の好走が目立つ「前走オープン特別9番人気以下」だったのはアーデントリー(米子S14番人気11着)とスーパーフェザー(同11番人気14着)、アスコルターレ(本稿執筆時点では除外対象)だが、5歳馬やハンデ56〜57キロの馬は不在。このあたりとの比較なら重賞組で、前走G1・ハンデ57キロのカテドラルや、5歳・ハンデ56キロのコルテジアも互角の評価でいいだろう。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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著者プロフィール

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