Bリーグマネジメントカップ2021:ホームアドバンテージの変化と要因分析
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そうした制限下での試合運営や観戦環境の変化が、競技面にどのような影響を及ぼしたのかについて、ホームアドバンテージ(ホーム勝率とアウェイ勝率の差)に着目し、考察を行いました。
まず、直近2020年シーズンまでの過去4シーズンのホームアドバンテージについて、リーグ全体の時系列推移を確認しました。次に、そのホームアドバンテージをクラブ単位で見た場合にどのように変動しているかを可視化し、その変動が何によって引き起こされているのかを明らかにするために、ホームゲームの収容率との相関関係について考察しました。また、収益・費用構造のホームアドバンテージへの影響に関しても、各クラブの財務情報を用いたクラスタリングをすることで、考察しています。
ホームアドバンテージの時系列推移とホーム集客率の関係
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米国NBAにおいても、コロナ禍における2020-21年レギュラーシーズンのホーム勝率が過去最低を記録しており、日本のBリーグだけに見られる傾向ではなかったようです。また、Jリーグマネジメントカップ2020でも同様に、J1所属クラブにおけるホームアドバンテージの減少が報告されているため、このことは多くのスポーツ業界で共通して表れている傾向である可能性があります。
このホームアドバンテージの変動が、何を要因として引き起こされているのかについて、ホームゲーム集客率に着目して相関分析を行いました(図2)。
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これにより、B1リーグ全体としてはホームアドバンテージの変動要因の特定は現状では難しいため、各クラブの変動に着目して可視化を行いました(図3)。
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一方で千葉やSR渋谷などはホームアドバンテージを大きく上げたクラブであるといえます。千葉は昨シーズン▲17.0%という結果でしたが、2020年シーズンは13.2%と改善しました。
このように、リーグ全体としてはホームアドバンテージが減少したシーズンではあるものの、個別のクラブに着目すると、ホームアドバンテージを大きく下げているクラブがある一方で、今シーズン逆に改善しているクラブもあります。そうしたホームアドバンテージの差異をB1所属クラブをグループに分類する変数として用い、それらのグループ間の財務情報の傾向について分析を行いました。
ホームアドバンテージへのBM指標の影響について
まず、2020年シーズンの各クラブのホームアドバンテージをクラスタリングの変数として加えました。次いで各クラブのPL構造を特徴づける項目として、営業収入・営業費用の2つを利用します。まず、各クラブにおける営業収入・営業費用の各項目の構成比率を計算しました。
それらの特徴の類似性をもとに、2020年シーズンB1リーグに所属するクラブをいくつかのグループに分類した結果、「高HA(ホームアドバンテージ)」、「中HA(ホームアドバンテージ)」、「低HA(ホームアドバンテージ)」の3つのクラスターが確認されました。
今回のクラスタリングでは各クラブのホームアドバンテージを変数に採用しているため、その差異が各クラスターを最も特徴付けるものとなっています。また、過去3シーズンで同様のクラスタリングをした結果、同じような3つのクラスターが確認されました。それらの各シーズンのホームアドバンテージ推移を図4で表しました。
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また、中HAクラスターは過去3シーズンのホームアドバンテージはプラスで推移しているものの、高HAクラスターに比べるとホームアドバンテージはわずかです。低HAクラスターについては、過去3シーズン通じてマイナスで推移しており、直近の2020年シーズンでは▲25.92%と大きく減少してしまっています。
では、それぞれのクラスターにどのような財務的特徴があるのかについて、図5を利用して考察していきます。
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この結果から、トップチーム人件費に費用の大部分を費やしてチームの戦力強化を図ることだけでなく、クラブ運営や広告宣伝などのクラブの営業活動に一定程度の費用をかけることが、ホームアドバンテージの向上に寄与するのではないかということが示唆されます。またその逆で、ホームアドバンテージを上げることで、クラブの営業活動などが活性化され、結果として経営面にもプラスに働く可能性も考えられます。
将来的に新型コロナ感染拡大防止のための様々な制限が解けた折に、リーグ全体のホームアドバンテージが再びコロナ禍以前の傾向に戻るのかどうか、その際各クラブの経営とチーム強化の方針によって、ホームアドバンテージがどのように変化するのか、引き続き注視していきたいと思います。
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