連載:#BAYSTARS - 横浜DeNAベイスターズ連載企画 -

谷繁氏が語る24年ぶりベイスターズVへの道 キーマンは牧、大切なのは本拠地の貯金

ライトハウス

打のキーマンは4番の牧、100打点は超えてほしい

安定した打撃を谷繁氏が評価する牧、2年目の開幕戦は4番で迎える 【写真は共同】

――投打のキーマンを一人ずつ挙げてもらいたいのですが、まずは打のキーマンは?

谷繁 Aクラスないし優勝を目指すならば、やはり牧じゃないですか。

――マークは厳しくなると思いますが、1年目を上回る成績を残せそうですか?

谷繁 去年は素晴らしい成績(打率.314、22本、71打点)でしたから、同じくらいでいいと思います。去年以上の成績を求めたいのは打点ですね。

――三浦監督は4番での起用を明言していますし、打点は求められますね。

谷繁 そうですね。打率.300、ホームラン20発以上は昨年も打っていますから、ここは同じくらいなら十分です。ただ、4番に入るとなると、打点は100を目指してほしい。そうなると打線的には回りが良くなると思います。4番に軸ができるのすごく大事で、98年にベイスターズが優勝したときは、毎年のように100打点近い数字を残していて、打点王も獲っているローズが4番にいました。4番はホームラン数よりも、スコアリングポジションにランナーがいるときにどれだけ打てるか。得点圏打率も.350〜400くらい打てると、100打点は見えてくると思います。

――牧選手の昨年の得点圏打率.304でした。

谷繁 そこはもう少し上げていきたいですね。キーマンは牧なんですけど、4番が打点をあげることを考えると、同時に1、2番の出塁率も大事になってきます。昨年は桑原が頑張って3割以上の打率を残しましたが、打率の割にはそこまで出塁率が高くなくて、2番にもいろいろな選手が入って固定できなかったので、トータルで1、2番の出塁率が高くない。オースティンがあれだけ打っても打点があまり伸びなかったのは、そういう要因があると思います。

――今シーズンも1番は桑原選手になると思いますが、谷繁さんなら2番は誰を起用しますか?

谷繁 開幕に間に合うのであれば佐野じゃないですか。当初は森が2番ショートで入る予定で、3番オースティン、4番が牧、5番宮崎、6番佐野、7番ソトという並びで考えていたと思いますが、2番森ができないとなると出塁率を考えて佐野(昨年は出塁率.376)ですかね。2番佐野になると、足の使えない打線になりますが、今年はケースに応じたバッティングを徹底して、進塁打やエンドランをオープン戦でも仕掛けていましたし、選手にそういう意識をつけさせようという狙いは見えます。ただこれは、今までやらなすぎただけで、他のチームが普通にやっていることをやっとやり始めたところなんですよね。これができていないので、ヒットを打っているのに得点が少ない。打つだけではなくて、こういう細かいところから得点を増やしていくことが大事になりますね。

優勝の可能性はゼロではない、横浜スタジアムでの勝率アップを!

――では投手のキーマンは?

谷繁 今年は延長が12回までに戻りましたから、去年以上に投手は大事になります。昨年は9回までだったので、先発は5回、6回で替わっても何とかなりました。でも今年はそういうわけにはいきません。先発陣が少しでも長いイニングを投げられて、なおかつ頭数がいないと、リリーフ陣への負担が大きくなっていきますから、シーズンが進むと苦しくなっていくと思います。

――谷繁さんは98年のベイスターズをはじめ、ドラゴンズに移籍後も4度のリーグ優勝と、日本一も経験しています。優勝するチームはどんなチームだという感覚がありますか?

谷繁 優勝したときのベイスターズがやっていた野球とドラゴンズがやっていた野球はちょっと違います。ドラゴンズの4回の優勝はディフェンスの野球なんです。少ない得点を何とか守り抜いて勝つというチームカラーでした。逆に98年のベイスターズは打線のチーム。それでも後ろには佐々木さんがいて、勝ちパターンのリリーフ陣も整っていました。僕個人的にはバッテリーを含めたディフェンス力が勝つ可能性を高めると思います。去年にしてもオリックスは先発陣が安定していましたし、後ろも平野を中心に踏ん張っていました。ヤクルトは後ろが固まってきてから勝ち始めましたからね。

――それを踏まえて今年のベイスターズの優勝の可能性は?

谷繁 昨年最下位とはいえ、優勝の可能性はゼロではないですよね。というのも、今年のセ・リーグは突出したチームがないので、どこのチームにも優勝のチャンスはあると思います。当然、ベイスターズにも優勝のチャンスはあると思います。

――ベイスターズは大幅に負け越す、苦手球団をつくってしまうことも課題かと思います。

谷繁 優勝するためには苦手をつくらないことも大事ですね。そのためには、横浜スタジアムでの勝率を上げていくことがポイントになります。横浜スタジアムは打者有利の球場ではありますが。打ち合いばかりでは安定して勝てないので、しっかり抑えられるピッチャーが必要です。優勝するチームはだいたいホームゲームで10〜20の貯金をつくって、ビジターで5割くらいの数字を残せば優勝ラインにいけます。ホームでしっかり勝ち星を増やしていくことが、ベイスターズの優勝につながっていくと思います。

谷繁元信(たにしげもとのぶ)

【画像提供:株式会社Flying B Entertainment】

1970年12月21日、広島県出身。1988年のドラフト1位で横浜大洋ホエールズに入団。1年目から80試合に出場を果たす。96年には初の打率3割をマークするなど主力に成長し、98年にはチームの38年ぶりの日本一に貢献した。02年に中日に移籍後は中心選手として、4度のリーグ優勝、1度の日本一を経験。13年には2000安打を達成した。14年からは選手兼任監督を務め、15年に現役を引退。現在は野球解説者として活躍している。YouTube「谷繁ベースボールチャンネル」も好評配信中。

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