男子は張本、及川を中心に混戦 女子は五輪3人組+早田の4強 全日本卓球選手権展望

照井雄太

女子シングルス展望:東京五輪代表に早田を加えた4名がV候補

東京五輪代表の3選手の戦いにも注目 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

水谷 全日本をしっかり観るのは今回が初めてですか?

草野 そうなんです!注目しているのは安藤みなみ選手。プレースタイルがクールで感情を表に出さず、ミスの少ない卓球をされているイメージでしたが、実際に見るとパワフルなプレースタイルで好きですね。

水谷 勝ち上がりの可能性が高い、いい組み合わせの所にいますね。では、五輪代表選手では、誰が一番好きですか?

草野 うわー、これ困ったなー(笑)。皆さん大好きですが、特に伊藤美誠選手は同じラケットを買うぐらいのファンで、ラバーも両面同じものを使いたいと思うぐらい好きです。他にも早田ひな選手が、もう少しで中国選手にも通用してしまうのではないかと思っています。全日本も勝ち上がって来そうですね。

水谷 そうですね、トーナメントの場所もいい所にいて、勝ち上がりそうです。やはり、五輪代表+早田選手ですね。その4人で優勝争いするのは、相当固いと思います。
 

女子シングルス解説

◆第1ブロック

 本命はディフェンディングチャンピオンの石川佳純(全農)。前大会は決勝で伊藤美誠(スターツ)をゲームカウント1-3から破り、5年ぶり5回目、涙の優勝を果たした。昨年は東京五輪団体で銀メダルを獲得し、世界選手権ではシングルスベスト8と高いレベルで安定した実力を持っている。今大会も優勝すると、小山ちれ(8回)、星野美香(7回)に続き、歴代3番目の優勝記録となる。

 注目は加藤美優(日本ペイントマレッツ)と大藤沙月(四天王寺高校)。加藤は2019年世界選手権ベスト8と高い実力を持っており、順調に勝ち上がるとベスト16で石川と対戦。接戦が予想される。

 大藤は前大会、早田ひな(日本生命)に3-4で惜しくも敗戦。今シーズンから参戦したTリーグでは、8勝1敗と高い勝率を残しており、上位進出が予想される。また、同時開催のジュニア(高校2年生以下)では2連覇しており、今大会で3連覇を目指す。

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東京五輪代表の3人と早田ひながV候補の筆頭だ 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

◆第2ブロック

 本命は2020年優勝の早田ひな。昨年のアジア選手権では日本勢47年ぶりの三冠を達成。世界選手権では女子ダブルス、混合ダブルスで銀メダルを獲得。シングルスでは惜しくも中国選手に敗れたが、互角の戦いを見せた。五輪代表組を破り、2年ぶり2回目の優勝を目指す。

 注目は2019年世界ジュニア王者の長?美柚(日本生命)。社会人1年目の今シーズンは全日本社会人選手権で優勝し、順調に実力を伸ばしている。全日本は過去最高ベスト8。今大会ではベスト8の壁を破り、一気に優勝を狙う。

 2019年世界卓球ダブルス銅メダルの橋本帆乃香(ミキハウス)も注目選手。前大会はまさかの初戦負けしたものの、今シーズンからTリーグに参戦し、9勝3敗の成績を 残し、石川佳純にも勝利している。勝ち進むとベスト16で相性の悪い早田ひなと対戦するが、どのようなプレーを見せるか。

◆第3ブロック

 本命は平野美宇(日本生命)。東京五輪での活躍に加え、11月の世界選手権では、東京五輪金メダルの陳夢(中国)をあと一歩まで追い詰め、石川佳純との女子ダブルスでも、中国ペアに2-3と惜敗。思うような成績を残せなかった時期もあったが、昨年は強い平野が戻って来た印象。しかし、全日本では2017年の史上最年少優勝以降、ここ数年は結果が出ていない。今大会では再び強い平野美宇を見ることができるか。

 注目は木原美悠(JOCエリートアカデミー)と佐藤瞳(ミキハウス)。木原は前大会でベスト4。全日本では前大会と2019年で平野から勝利をあげており、相性がいい。18歳ながらTリーグでもトップタイの9勝をマークしており、実力は折り紙付き。2019年以来の決勝進出、そして初優勝を目指す。

 佐藤は過去最高で世界ランク9位の実力を持ちながらも、全日本では2017年のベスト4が最高。近年はベスト8が定位置となっており、パリ五輪を目指すためにも、全日本で爆発し優勝という結果を残したい。

◆第4ブロック

 本命は東京五輪で混合ダブルスで金、団体で銀、シングルスで銅と3枚のメダルを獲得した伊藤美誠。前回大会は優勝候補の大本命であったが、決勝で石川佳純に悔しい逆転負けを喫した。中国選手とも互角に戦う伊藤の実力は頭一つ抜けており、どんな場面でも伊藤らしい変幻自在なプレーができるかがカギ。

 注目は安藤みなみ(トップおとめピンポンズ名古屋)と芝田沙季(ミキハウス)。安藤は昨年のアジア選手権で3位。団体優勝にも貢献し、国際大会でも結果を残した。Tリーグでも7勝1敗と好成績を誇っている。また、2017年全日本では伊藤美誠に勝利している。

 芝田は昨年世界選手権に初出場し、伊藤美誠に3-4で惜しくも敗戦したが、実力の高さを見せた。勝ち進めばベスト16で伊藤と対戦する。両者ともに研究して臨む対戦で、芝田がどこまで攻められるか。

 張本智和の妹で中学1年生の張本美和(木下アカデミー)は、伊藤美誠のシード下に入ることに。ここ1年で身長がグッと伸び、Tリーグでも史上最年少勝利を上げるなど、一気にシニアレベルに近付いた。日本のエース伊藤と、将来のエース候補・張本の対戦が実現すれば、日本卓球界注目の一戦となる。


取材/文:照井雄太
構成:スポーツ企画工房

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著者プロフィール

1986年神奈川県生まれ。滝川第二高校、筑波大学で卓球に打ち込む。卒業後は、一般企業就職後、卓球の仕事がしたいと思い、2018年10月開幕直前から卓球の「Tリーグ」に転職。Tリーグでは試合運営の他、メルマガのコラム担当し、また不定期でスポーツメディアの卓球コラムを執筆している。

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