卓球愛に満ちたトークラリー 鬼滅『紅蓮華』作曲者・草野華余子×五輪金メダリスト・水谷隼【特別対談】

照井雄太

卓球では常に相手の嫌がることを考えている

草野 卓球は性格が悪い方が強いスポーツという話を聞いたことがあります。私は150kmのストレートしか投げられないような性格をしているので、よく裏をかかれるんです。根性では負けないんですが、戦術で絶対に負けるんです。水谷さんは戦術を学ぶ前、幼少期のころから裏をかくようなことが出来たんですか?

水谷 そんなことはないです。一応言っておきますが、強い選手でも決して性格は悪くないですよ(笑)。悪いというよりは賢いです。トップ選手は相手の気持ちを理解して、逆を突かないといけない。トップ選手だと賢い同士が戦うので、そこでの読み合いです。ちょっと甘いボールが来たら、勇気を持って打ったりとか、リスクを冒したりとか、そういう戦いが常に試合では行われています。

草野 なるほど。勝負どころでは、何パターンも戦術を考えられるんですか?

水谷 自分が何したいかよりも、相手が何を嫌がっているかをその場で常に考えています。

草野 それは視覚的な情報で、いつもよりバック側に立っているなとか、全部含めてですか?

水谷 いや、見ているよりも相手の心の中を読んでいます。相手が自分に対してどういった印象を持っているを考えて、相手の性格を考えます。例えば、初めて僕と草野さんが対戦するとします。絶対に緊張しているから、フォアの遠いところにロングサーブを出そうみたいな。

草野 いや!もうどこに来ても打てないですよ!(笑)

取材/文:照井雄太
構成:スポーツ企画工房

草野華余子(くさの・かよこ)

【写真提供:CAT entertainment】

 大阪府出身のシンガーソングライター。そして作詞・作曲家。3歳の頃からピアノと声楽を始め、5歳で作曲を始める。中学生の頃に出会ったJ-ROCKシーンのバンドサウンドに衝撃を受け、18歳の関西大学進学を機にバンド活動開始。
 自身の活動に加え、数多くのアーティストやアニメ作品への楽曲を提供。2019年にリリースされたLiSA「紅蓮華」の作曲を手掛け、一躍注目を集める。そのキャラクターの明るさやトーク力を活かし、近年はテレビやラジオなど数々のメディアでも活躍中。
Twitter:https://twitter.com/kayoko225

水谷隼(みずたにじゅん)

【写真提供:HLBスポーツ】

 木下グループ所属。1989年6月9日生まれ、静岡県磐田市出身の元プロ卓球選手。両親の影響で5歳から卓球をはじめる。天性のボールセンスで注目を集め、中学2年時よりドイツ・ブンデスリーガに卓球留学し、才能を磨いた。
 2005年に行われた世界選手権個人戦では、当時史上最年少の15歳10ヶ月で出場し、当時世界ランキング8位の荘智淵(チャイニーズタイペイ)を破る。同年のアジア選手権でも、当時世界ランク2位、アテネ五輪銀メダリストの王皓(中国)を破るなど日本の若きエースとして頭角を現す。
 2007年全日本卓球選手権では、当時史上最年少の17歳7ヶ月で優勝。この優勝から2011年まで史上初の男子シングルス5連覇を達成。2019年全日本卓球選手権において前人未到の通算10回目の優勝を成し遂げた。2008年北京五輪、2012年ロンドン五輪出場。2016年リオデジャネイロ五輪では、男子団体銀メダル、男子シングルスでは男女を通じて日本人初のメダルを獲得した。
 2021年開催の東京五輪では、新種目として追加された混合ダブルスに出場し、日本卓球史上初の金メダルを獲得。また男子団体では銅メダルを獲得し、2大会連続のメダル獲得となった。
Twitter: https://twitter.com/Mizutani__Jun

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著者プロフィール

1986年神奈川県生まれ。滝川第二高校、筑波大学で卓球に打ち込む。卒業後は、一般企業就職後、卓球の仕事がしたいと思い、2018年10月開幕直前から卓球の「Tリーグ」に転職。Tリーグでは試合運営の他、メルマガのコラム担当し、また不定期でスポーツメディアの卓球コラムを執筆している。

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