連載:データで可視化「球団別・長所と短所」

戦力図を変えた“実績”のない選手達 データで可視化「球団別・長所と短所」セ・リーグ投手編

プロ2年目の奥川は2021年に9勝をマークしてヤクルトの日本一に大きく貢献した 【写真は共同】

 新年を迎え、キャンプインの足音が聞こえてきた。2022年シーズンでの飛躍を誓い、選手たちが鍛錬に励んでいる中、チームもドラフト指名選手や新外国人選手の獲得などで、それぞれの方針に基づいて戦力補強を行っている。本稿では、21年の先発・救援別のデータから各チームの長所や短所を可視化し、オフシーズンの補強と併せてチームの現状に触れていきたい。

2021年セ・リーグ:先発・救援別各種データ

【データ提供:データスタジアム】

 失点抑止貢献とはリーグ内の同一起用法の平均的な選手と比較して、投球でどれだけの利得を生んだかを示したものだ。例えば阪神の先発投手は、セ・リーグの平均的な先発投手よりも21.4点分の失点抑止に貢献をしたことを意味する。またこの貢献度は与四球やゴロ打球などの各イベントに一定の失点期待値を見込むことで、野手の守備の影響を除外して計算している。

ヤクルト

【データ提供:データスタジアム】

長所:奥川の台頭。先発投手の駒の多さ
短所:長いイニングを投げる先発投手の不在。救援左腕の不足


 先発投手の貢献度はリーグ3位となったが、長いイニングを消化できる投手の不在が課題になっている。チームトップの貢献度をマークした奥川や、シーズン途中からローテーションに加わった高橋が今後イニング数を増やしていくことを期待したい。また原、サイスニードもプラスの貢献度を示しているほか、A.J.コール、アンドリュー・スアレスと先発候補の新外国人も加入し、今季は開幕からより高いレベルでの競争が生まれそうだ。

 救援陣では絶対的な存在こそいないものの、一定の成績を残した投手を複数抱えているのが強みだ。3.9点分の失点抑止に貢献した近藤が戦列に復帰すれば、さらに安定感は増すだろう。そんな中で左腕の不足はチームの不安材料だ。主に先発を務めた田口と高橋を除き、貢献度がプラスとなった左腕はいない。ドラフト1位ルーキーの山下は先発での起用が予想され、長谷川や宮台といった既存戦力の台頭が待たれる。

阪神

【データ提供:データスタジアム】

長所:強固な先発投手陣
短所:スアレス移籍による抑え投手不在


 先発の貢献度が6球団で最も高かった阪神。100イニング以上を投げた投手がリーグで唯一5人を数えるなど、シーズン中盤からはほぼ固定されたメンバーで戦い抜いた。さらに9月からローテーションに加わった高橋は14.3点分の失点抑止に貢献。二軍を主戦場とした投手についても、1年目でウエスタンのタイトルを総なめにした村上やチェン・ウェイン、西純らが控えており、今季も盤石な体制といえそうだ。

 一方で絶対的な守護神・スアレスがメジャーへ移籍したことで、救援陣は再編が求められている。抑え候補の1人として獲得したケラーが期待通りの働きを見せられるかどうかが、非常に重要なポイントになるだろう。また39試合に救援登板した及川、後半戦のブルペンを支えたアルカンタラは先発への転向が予定されており、代わりに7回を任せられる投手が出てきて欲しいところだ。

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