勢力図を左右するのは助っ人のデキ? データで可視化「球団別・長所と短所」パ・リーグ野手編
2021年楽天:ポジション別得失点貢献
【データ提供:データスタジアム】
短所:捕手、右翼の攻撃力と遊撃の守備力
楽天の強みは二塁と三塁だ。ともにタイトルとは無縁だったものの、浅村と茂木の貢献度は傑出しており、野手はリーグトップの成績を記録した。その中で低迷した指名打者の候補として、マイナーで打率.338、26本塁打のマルモレホス、同じく47試合で打率.305、15本塁打を記録したギッテンスを獲得。それだけにとどまらず盗塁王に輝いた西川、右の好打者である川島と着実に補強を進めた。石井監督は野手に複数ポジションを守らせる方針を明かしていて、ピンポイントで弱点を埋める補強というよりは、選手層を厚くして起用の幅を広げるようなオフの動きとなった。
遊撃に目を向けると、2年目の小深田が精彩を欠いた。代わって9月半ばからショートに定着した山崎剛は、打撃でリーグ平均を上回り、守備では4.8点のプラスを記録。新戦力だけでなく既存メンバーにも新しい芽が出てきた。9年ぶりとなる優勝へ向け、準備は整いつつある。
2021年ソフトバンク:ポジション別得失点貢献
【データ提供:データスタジアム】
短所:二塁の攻撃力と三塁の守備力
8年ぶりにBクラスへと転落したソフトバンク。ただ、得点はリーグ2位と悪くなかった。それを示すように、ポジション別の貢献度を見ても穴は少ない。攻撃面でマイナスを記録した二遊間には、昨年メジャーで14本塁打を放ったガルビスを獲得。ドラフトでは即戦力社会人の野村勇を4位で指名した。今宮はコンディション面を考慮されて休養を挟みながらの出場だったが、層が厚くなったことで、より負担をかけない起用が可能になった。
また、三塁は長年チームの中心選手だった松田が絶対的な存在ではなくなりつつある。レギュラー候補にはシーズン終盤で存在感を示したリチャード、そして昨年160イニング守って3.3点分の守備貢献を記録した栗原も候補の1人に挙がる。ただし、藤本新監督は栗原をレフトに固定する意向を示している。外野にはグラシアルやドラフト2位の正木を始め多くの選手が控えるだけに、柔軟な対応をしたいところ。キャンプからオープン戦にかけて、栗原の起用法がどうなるかは要注目となる。
2021年日本ハム:ポジション別得失点貢献
【データ提供:データスタジアム】
短所:得点力不足。特に内野全体が大きなマイナス
2021年シーズン、1試合平均得点が3.17だった日本ハム。これは北海道移転後のワースト記録であり、打線の不振が深刻な1年だった。その得点力不足解消の一手として、19年にメジャーで31本塁打を記録したヌニエスを獲得した。ヌニエスは指名打者としての起用が予想され、近藤が外野の一角の攻撃力を埋めることになりそうだ。大きなマイナスを記録している内野にはアルカンタラ、ドラフトで社会人の水野、上川畑を加えた。
ただ、これらの補強だけで状況を好転させるのは難しいだろう。オフには主力だった西川と大田を放出しており、既存戦力の底上げは必須。中でも野村は後半戦からクリーンアップとして起用されるなど、チームの期待は大きい。二軍で本塁打王を獲得した清宮、27試合で9盗塁を記録した五十幡、49試合で5本塁打の万波など、潜在能力の高い若手野手はそろっている。新庄ビッグボスの下、彼らが化学反応を起こせるか。
2021年西武:ポジション別得失点貢献
【データ提供:データスタジアム】
短所:外野3ポジションの攻撃力
1979年以来となる最下位に沈んだ西武。低迷するチームの中で奮闘したのが、森と源田だ。打力が低い傾向にある捕手でリーグ2位の打率を残した森の存在は大きく、捕手はリーグ全体でトップの貢献度を記録。遊撃の源田はもはや説明不要の守備だけでなく、攻撃でもプラスを稼いだ。短期的に強化しづらい両ポジションで球界トップクラスの選手を抱えているのは、チームの大きな強みとなっている。
一方、外野の打力は明確な課題だ。立て直しを図るべく、今オフにはオグレディとジャンセンを補強。これに新人ながら44試合で20盗塁を記録した若林、岸や愛斗といった若手の飛躍で改善を目指したい。他には弱点といえるポジションがないだけに、彼らがリーグ平均レベルの活躍をするだけでも野手陣は大きく上向く状況だ。昨年は山川や外崎といった主力がケガで離脱することも多く、かつての強力打線が鳴りを潜めた。リーグ最強の野手陣が今季復活する可能性を十分秘めており、最下位からの巻き返しを見せたい。