ラグビーW杯の熱狂を、もう一度! 玉塚元一理事長が語る日本最高峰の新リーグ『リーグワン』
いつかラグビーに恩返ししたいと思っていました
21年10月にリーグワン運営法人理事長に就任した玉塚元一氏 【写真提供:ジャパンラグビーリーグワン】
新リーグについては準備委員会の段階から参加し、協会の岩渕健輔専務理事と共同委員長ということで喧々囂々(けんけんごうごう)やってきた延長線上で理事長就任という話になりました。リーグワンでは、一橋大でラグビーをやっていた東海林一さんが専務理事として日常のオペレーションをしっかりやってくれるので、僕はポイントでみなさんとコミュニケーションさせていただいたり、大きな問題が起こったら正しい方向へと導いて解決していく形ですね。
そもそも、僕が理事長をお受けした一番の理由は恩返し。ラグビーをやっていなかったら、いまの自分はないし。ラグビーで鍛えられ、そして学ばせてもらいました。だから『いつかラグビーに恩返ししたい』と、ずっと思っていたんです。
リーグワンの立ち上げというのは、ベンチャーの立ち上げに似ていると思うんです。だとしたら、ベンチャーを成功させるためのポイントは何か。それはビジョンを明確にすることであり、自分たちが最も重要にすべきベース、企業理念や文化だと思いますが、それを大切にすることですよね。そして、それらを実現するためにチームを編成するということです。描いた絵のようにならないことばかりでしょうが、過去のデータや経験値などすべてひっくるめて具体的戦略を、スピード感を持って実行していく。その繰り返しですよね。そんなことを、これまでのビジネスでもずっとやってきました。
最初の3年間はトライ&エラーの連続でしょうが、うまくいけばさらに展開しますし、失敗したら修正していくだけです。リーグワンは事業共創パートナーとしてたくさんの企業に支えていただいていますが、最大のユニークネスは各チームの母体企業です。そうそうたるグローバル企業が名を連ねています。そうした方々の力も活用させていただきながら、問題にタックルしていきたいですね。
――リーグワンは3部制となるようですね。
ディビジョン1が12チーム、ディビジョン2が6チーム、ディビジョン3が6チームという構成になります。トップのディビジョン1は総当り、プレーオフもやって、将来的にはクロスボーダーマッチをやれるように発展させていきたいと考えていますが、そのためには“グローバル”ということを徹底的に意識していきます。グローバルスタンダードのリーグ。ディビジョン1はクロスボーダーマッチに参戦する日本を代表するチーム、ディビジョン2、3はそれを目指すチームで当然、入れ替え戦も行います。
ラグビーの裾野を広げるという意味ではディビジョン2や3もとても重要で、場合によってはもう少しチーム数を増やしてもいいかもしれません。裾野を広げながら、世界でも十分戦っていけるリーグにするということですね。
――Jリーグのような地域密着、フランチャイズについてはどうお考えですか。
『あなたの街から、世界最高をつくろう』、それが僕たちの合言葉、ビジョンです。そのためには地域のファンの方々に支えられなければ、絶対にうまくはいきません。地域の方々といろいろな取り組みを行い、ラグビーを全国的に広めていかなければリーグワンの成功はありえません。それぞれのチームが地域で子供たちを育成するなど、ラグビーの価値を伝えられるよう地域に根ざしてやっていくことが重要だと考えています。
世界のスーパースターが数多く参戦
ニュージーランド代表“オールブラックス”の主力選手であり世界的スターのダミアン・マッケンジーが、東京サントリーサンゴリアスに新加入 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
そこは絶好のチャンスととらえています。バリバリのオールブラックス(ニュージーランド代表)、ダミアン・マッケンジーの東京サントリーサンゴリアス入団をはじめ、各国代表選手が数多く参戦します。日本の国土としての魅力もあるでしょうが、彼らはやっぱり横を見ていますからね。こうした流れはさらに進むでしょう。世界のスーパースターと日本の選手たちが切磋琢磨することによって、選手としてのレベルが上がり、ゲームのレベルが上がる。それもリーグワンの魅力だと思います。世界最高峰のプレーが日本で見られるわけですから。
――観客動員については、どのようにお考えでしょうか?
まずはスタジアムへ足を運んでいただくチケットセールス。さまざまなニーズにあったシート、チケットをご用意しています。ラグビーを見るという目的は同じでも、楽しみ方はいろいろです。会社の接待的な目的もあるでしょうし、仲間あるいはカップルで楽しまれる方もいる。もちろん、純粋にラグビー観戦される方もいらっしゃいますよね。スタジアムによって制限はありますが、ニーズに合わせて準備していきます。チケット価格も3,000円台から5万円台まで幅広く設定させていただきました。
おかげさまで開幕戦のチケットは、ラウンジでの飲食のほかさまざまな特典が付いたセレブレーションシートプレミアチケット、セレブレーションシートチケットは先行販売で完売となり、上々の滑り出しでした。この魅力的なスポーツコンテンツの付加価値をさらに高めるために、まったく新しいタイプの動画配信も考えておりますのでご期待ください。
――1月7日の開幕戦が待ちきれなくなってきました。
会場があの国立競技場、しかもナイターです。スタジアムが輝くでしょうし、クボタスピアーズ船橋・東京ベイも埼玉パナソニックワイルドナイツもものすごいメンバーを擁しています。歴史に残るようなエキサイティングなゲームになるでしょう。僕もいまから期待しています。
そのほか、8日、9日も全国各地で好ゲームが目白押しです。選手たちは真摯に、体をかけてチームの勝利のために戦います。そんな究極のチームスポーツ、ラグビーで感動してください。そして、もう一度! W杯を日本で開催しましょう。そこにつながっていく大事な戦いがリーグワンです。応援よろしくお願いします。
(企画・構成:ライトハウス)
1962年、東京生まれ。株式会社ロッテホールディングス代表取締役社長。慶応義塾大、ケース・ウエスタン・リザーブ大経営大学院、サンダーバード国際経営大学院出身。中学時代にラグビーをはじめ、84年全国大学選手権準優勝。ファーストリテイリング代表取締役兼COO、ローソン代表取締役社長、デジタルハーツホールディングス代表取締役社長CEO、経済同友会デジタル政府・行革PT等各種委員長などを歴任。2021年10月、一般社団法人ジャパンラグビーリーグワン運営法人理事長就任。