ラグビーW杯の熱狂を、もう一度! 玉塚元一理事長が語る日本最高峰の新リーグ『リーグワン』

宮崎俊哉

ラグビーW杯2019のスコットランド戦でトライを決める稲垣啓太。この試合に勝利した日本は史上初の決勝トーナメント進出を決めた。この大会の盛り上がりを『リーグワン』の成功につなげたい 【写真:ロイター/アフロ】

『新たなラグビーの未来をつくる』という理念のもと、来年1月7日に開幕戦を迎える『ジャパンラグビー リーグワン』。慶応義塾大を大学選手権準優勝に導き、シンガポール代表として活躍後は、数多くの大手企業で経営手腕を発揮してきた玉塚元一理事長が、リーグワン創設の経緯やこれまでのリーグとの違い、さらにはラグビーの普及、日本代表強化などについて語った。

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ラグビーは日本の文化に合っている

――新リーグ創設までの経緯から教えてください。

 やはり2019年ワールドカップ(W杯)・日本大会が大きかったですね。ラグビーをやっていた人間からすると、日本中があれほど熱狂するのかと驚くばかりでした。日本代表がアイルランドやスコットランドに勝って、ベスト8に進出。選手が頑張ってくれたのが一番ですが、見ていて感動、感動でしたものね。

 あのとき、ラグビーが持つ独特の文化、精神性……例えばノーサイドの精神とか、戦い終えた選手が敵味方なく抱き合い、お互いを称え合う姿とか、そう“One for All. All for One.”という自己犠牲の精神とかも、日本にとても合っているなと僕自身すごく感じました。

 僕がラグビーをやっていた慶応義塾大には『花となるより根となろう』という素敵な言葉があるんです。日本代表でも福岡(堅樹)選手の華麗なトライは、稲垣(啓太)選手や堀江(翔太)選手がスクラムでじっと耐え忍んだから生まれたものでしょう。ラグビーって、スポーツとして本当に真剣勝負。コンテンツとして、日本人の文化に合っているじゃないですか。

――たしかに日本の文化に合っています。

 みなさんがそう感じるようになったきっかけは、15年W杯で南アフリカを撃破した世紀の番狂わせ、“ブライトンの奇跡”と言われたあの試合から。エディー・ジョーンズをヘッドコーチとして招聘(しょうへい)。日本代表を徹底的に強化し、ものすごい数の対外試合も行いました。その後06年からはサンウルブズが誕生し、トップリーグも03年からずっとやってきました。そうした先人たちのラグビーへの取り組みを土台にして、W杯を日本へ持ってくることができました。

 19年、なかでも私が一番感動したのは台風の後の横浜国際総合競技場でのスコットランド戦です。誰もが試合なんてできないだろうと思った水浸しのスタジアムを、スタッフやボランティアの方たちがきれいに水はけして、笑顔で両チームと観客を迎え入れました。そして、試合が終わればゴミもきれいに片付けていたんです。ラグビーが持つ文化、ラグビーを支える人たちが持つ精神性が日本ほど合致する国はないですよね。

 大会自体が“奇跡”と呼べるようなもので、そこがラグビー界にとって大きなチャンスでした。本来でしたら、あの大会直後に新リーグを立ち上げなければなりませんでしたが、残念ながらコロナ禍となってしまいました。そのため遅れが生じたのですが、ようやく準備が整い新リーグとして『ジャパンラグビー リーグワン』を創設することができ、いよいよ来年1月7日の開幕戦を迎えるというわけです。

新たなラグビーの未来をつくる

大成功となったW杯2019から2年強。22月1月7日にラグビー新リーグ『リーグワン』が開幕する 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

――『新たなラグビーの未来をつくる』という理念を掲げていらっしゃいますが、リーグワンのコンセプトとは?

 新リーグ創設の一番の目的は、ラグビーを日本に根付かせること。そして、日本が本当に世界のトップに食い込むために、そのポテンシャルは十分にあると確信していますが、プラットホームとして日本における最高峰のリーグを立ち上げるという思いから創設しました。

――リーグワンの成功が日本代表の強化に直結するわけですね。

 リーグワンがどれだけ活性化され、どれだけレベルの高い試合を残し、どれだけ強いチームが生まれるか。そうしたことが日本代表の強化につながります。リーグワンから世界で通用する選手が一人でも多く出てきてほしいですね。日本代表の強化を一番のポイントにしている日本ラグビーフットボール協会とも連携し、強力にコラボレーションしていくと同時に、地域の協会にも協力していただいて安心・安全・高いレベルの試合を継続していきたいと考えています。この秋、行われたテストマッチを見ても、19年と比べて各国ともさらにレベルが上がってきています。あのアイルランドに日本はよく勝ったなと思うばかりです。

――23年、次回W杯へ向けて日本も相当力を入れていかなければなりませんね。

 いや、ホントに! それと、僕らがアジアに位置していることに最大のチャンスがあります。世界的に見てレベルの高いリーグというと、南半球のオーストラリア、ニュージーランドなどによるスーパーラグビー。それにイギリスのプレミアシップ、フランスのトップ14。アジアはポコッと穴が開いているわけで、そこにできるのがリーグワンというわけです。

 30年以降、世界のGDPの成長の6割はアジアからもたらされると言われています。日本、中国、香港、台湾、韓国、さらには東南アジア。そうした地域に人流が集中し、経済活動が活発化してくる。それゆえ、アジアの中のリーグワンという特有なポジションを確立できればビジネス的にも、ものすごくチャンスがあるでしょう。

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