ラジオ実況アナ対談で見えた中継の裏側 プロの矜持、伝説実況、選手の素顔…

オグマナオト

対談を行ったニッポン放送・煙山アナ(左)と文化放送・山田アナ 【スポーツナビ】

 オリンピック、夏の甲子園、パラリンピック……。スポーツファンがこの夏の興奮を振り返るとき、実況アナウンサーが発した言葉とともに思い起こす人も多いはずだ。

 音楽がふいに過去の記憶を蘇らせ、脳内再生させてくれるように、スポーツの名場面や伝説のシーンには「名実況」の存在も欠かせない。仮に伝説のプレーでなくとも、日々の野球中継をストレスなく楽しめるのもまた実況アナウンサーの巧みな描写力があればこそだ。

 実況といえばテレビ中継を思い起こす人は多いだろうが、ここにきてがぜん注目を集めているのがラジオ実況の存在。radikoの浸透によって若い世代でもラジオ中継を楽しむ層が増えているという。

 そこで、スポーツナビYouTubeチャンネルとラジオ実況の二大老舗がコラボレーション。今年55周年を迎えた「ニッポン放送ショウアップナイター」と、40年目を迎えた「文化放送ライオンズナイター」のそれぞれの人気実況アナウンサーが「スポーツの伝え手」としての矜持をぶつけあった。詳しくはYouTube本編をご覧いただくとして、本稿ではそのエッセンスをお伝えしたい。

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悲喜こもごもの「実況あるある」

 野球実況のベテラン煙山光紀アナ 【提供:ニッポン放送】

 かたや野球実況28年目のベテラン、ニッポン放送・煙山光紀アナウンサー(59)。そして、去年実況デビューしたばかりという初々しい文化放送・山田弥希寿アナ(28)。年齢・キャリアの差はあれど、盛り上がりを見せたのは悲喜こもごもの「実況アナあるある」のひとつ、トイレ事情だ。

 今季は9回打ち切り制度のため、ある程度は終了時間が読めるとはいえ、プロ野球の試合といえば長い時は4時間、5時間……。その間、実況アナがマイク前から離れることは許されず、トイレに立つこともできない。だからこそ、放送開始前の何分前にトイレに行くのがベストなのか、尿意そのものへの対策をどうすべきかなど、電波には乗ってこない見えざる戦いがあるという。

 ベテランの煙山アナは、尿意を我慢しすぎるあまりに起きた「実況アナの職業病」ともいえるある症状について激白。ラジオから聞こえてくる軽やかな実況の裏側で、そんな痛みと戦っていたの!? と驚かされるはず。

 一方の若手・山田アナのエピソードも新人らしい初々しさが残るトンデモ案件。昨年のデビュー戦、なんと大人用オムツを履いて実況したというから驚かされる。この件は当時、ネットニュースでも拡散され、一部のラジオファン界隈では話題になった出来事。この件で先輩アナウンサーから受けたお叱りの内容が「実況アナの存在とは?」という職業観も考えさせられるもので興味深いものだった。

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著者プロフィール

昭和52年、福島県生まれ。『ざっくり甲子園100年100ネタ』や『大人も知らない! ? スポーツの実は…』、『スポーツ伝説超百科』シリーズ、『Leo the footballのしゃべくりサッカー部』シリーズなど、スポーツ書籍の執筆や構成を務める。また、『週プレ』『昭和40年男』『野球太郎』等の雑誌での記事執筆やインタビュー、テレビ朝日『報道ステーション・スポーツコーナー』やニッポン放送『スポーツ伝説』などテレビ・ラジオ・YouTubeのスポーツ番組での構成作家も担当。水島新司漫画研究家としてもメディア出演多数。

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