日本バスケ界期待の20歳・富永啓生 パリ五輪はNBA選手として「メダル獲得」

平野貴也

NJCAAで2シーズンプレー。変化した部分は

ウインターカップで活躍後、米国にわたってNJCAA(全米短期大学体育協会)で2シーズンプレーした富永。5人制の日本代表で活躍する八村塁や渡邊雄太と同じ道筋をたどる 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

――3人制から離れて、主戦場としている5人制の話になりますが、富永選手はウインターカップで活躍された後、米国にわたってNJCAA(全米短期大学体育協会)で2シーズンプレーをしていました。ドライブが力強くなったでしょうか? 自分のプレーのどんなところが変わったと感じていますか?

 ドライブが強くなった部分はあると思います。米国では、甘くドライブに入ってしまうと、相手に高さがあってブロックされてしまうので、やはりシュートを打つ前にボディコンタクトを入れて打つとか、簡単にブロックされないような工夫はしています。そういった部分に関しては、米国でやっていることで、東京五輪でも相手に高さや腕の長さがある状況に慣れていて、日本でやっていたときよりも気にならなくなっていたので、成果としてあるのかなと思います。

――課題に感じている部分は?

 ディフェンスの部分も課題ですし、フィジカルももっと鍛えないといけません。フィジカルトレーニングは日本にいた時よりはやっているのですが、やはりシーズンが続くとなかなかできないですからね。それでも、東京五輪に出場してみて、当たり負けはしなくなってきているかなとは感じました。

今秋からNCAAでの戦いがスタート

富永啓生「昔とは全然違って、世界の強豪と戦えるような日本代表チームになってきていて、本当にすごいなと見ていて思いました」 【スポーツナビ】

――富永選手は、今後5人制の日本代表入りも期待される存在です。今回の東京五輪では、八村塁選手(ウィザーズ)、渡邊雄太選手(ラプターズ)という2人のNBAプレーヤーを擁した5人制も注目され、結果的に未勝利でしたが、欧州勢と戦える位置に来たことを証明していました。どのように見ていましたか?

 昔とは全然違って、世界の強豪と戦えるような日本代表チームになってきていて、本当にすごいなと見ていて思いました。女子(準優勝)もそうですけど、本当にチーム一丸で、一人ひとりの役割の共通認識ができていて(意図した連係でフリーになる瞬間を作り)1本のシュートを集中して打てて、決めていたという部分が強かったと思います。ただ、世界の戦いになると、一つひとつのシュート力だったり、フィニッシュ力で、まだ相手の方が強かったかなという印象も受けました。

――次の2024年パリ五輪に、5人制で出るイメージは持っていますか?

 自分も一緒にやりたいなというイメージはあります。自分が入ったらシューターとしてプレーすると思うので、そういったところでイメージはしていました。

――この秋からはネブラスカ大へ移り、NCAAでの戦いが始まります。そして、3年後の2024年には、パリ五輪があります。富永選手が2度目の五輪をどのような形で迎えるのか、楽しみです。最後に、ここからどのようなステップアップを目指していくのか、教えてください。

 大学では、もちろんレベルが高くて大変なシーズンになると思いますけど、自分のできることをして、チームに貢献できるように頑張りたいです。活躍して目標であるNBAに近づけたらいいなと思っています。メインは5人制なので、五輪も5人制で出られるに越したことはないですけど、3人制も時間や機会があれば今後もプレーしたいと思っています。パリ五輪では(3人制か5人制か)日本が必要とする方で出場して、メダルを獲得するということが自分の理想のプランです。まずはこれから大学を経てNBA選手に、次の五輪はメダルを獲れるよう頑張ります。

* * *

 高校を卒業して、米国で大学を経てNBAを目指すというのは、5人制の日本代表で活躍する八村塁や渡邊雄太と同じ道筋だ。ただし、狭き門を突破して夢舞台にたどり着くのは、容易ではない。それでも、富永には期待を持つ。パリ五輪の話をしたとき「そのときはNBAの選手として?」と聞くと「できれば、そうですね」と笑顔を見せた。米国での挑戦は、毎年あるいは毎日が生き残りをかけた日々で、3年後だけを見据えて挑戦できるわけではない。しかし、その成果が3年後の舞台では、きっと見られるはずだ。3人制か5人制か、どのチームの選手として出場するのか。2度目の五輪挑戦が見られることを楽しみにしたい。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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