快勝の侍ジャパン、野村弘樹が次戦へ提言「4番の鈴木を下位に回すのも一案」
日本の2-1で迎えた4回表。村上と甲斐の連続ヒットで1アウト一三塁とすると、続く山田が3ランを放ち、試合の流れを一気に引き寄せた 【写真は共同】
山田の3ランが試合の雰囲気をガラッと変えた
4番の鈴木はこの日も無安打。スタメン9人の中で、唯一まだヒットが出ていない 【Getty Images】
坂本選手も7回にダメ押しの左越えアーチを放ちましたが、光ったのは打撃だけではありません。3回に左翼線二塁打で出塁すると、吉田(正尚)選手の打球が三遊間に転がった時には、二遊間で絶妙な距離を取り、その動きに一瞬気を取られた三塁手の一塁への悪送球を誘いました。浅村(栄斗)選手の投ゴロで本塁生還しましたが、高度な技術に裏付けられたスキのない走塁があの勝ち越し点を生んだと思います。盗塁のように記録に残るプレーではありませんが、非常に価値のある効果的な走塁でした。
この試合では打線が初回に29球、2回に22球を相手投手に投げさせました。追い込まれてもファウルで粘ることで、他の打者と相手投手のデータを共有できる。プラスアルファを得られるのは打者だけではありません。先発の森下(暢仁)投手は立ち上がりは表情が硬く、本来の制球力ではなかったですが、打線が粘り強い攻撃をすることで、ベンチで頭の中を冷静にする時間ができたのでしょう。2回以降はきっちり立ち直りました。
好調な打線の中で心配なのは、4番の鈴木(誠也)選手です。初戦に続き、2戦目も無安打とスタメンの選手の中で唯一まだ安打が出ておらず、打撃内容も良くない。連勝したので、そのまま4番に据えるという考え方がありますが、短期決戦では調子が上がるのを待っていられません。レギュラーシーズンだったら4番で我慢強く起用しますが、下位で打たせるのも一案だと思います。
柳田(悠岐)選手、村上(宗隆)選手、浅村(栄斗)選手と、他に4番を打てる選手もゴロゴロいる。ポイントゲッターとしての打撃が求められる4番にそのまま鈴木選手を置くのか、今後の起用法が気になりますね。
国際試合では「2番手投手」がポイント
先発・森下が5回まで投げ、6回からは日本ハムのルーキー伊藤が登板。キレのある直球を主体に素晴らしい投球を見せ、2回を無失点に抑えた 【写真は共同】
国際試合でポイントになるのが、先発投手が降りた後に登板する「2番手投手」です。ドミニカ共和国戦は0-0の7回から登板した青柳(晃洋)投手が集中打を浴びて2失点を喫し、逆転を許しました。僕も現役時代に先発、救援のどちらも経験しましたが、シーズンで先発を務めていた投手が救援で結果を出すのは非常に難しいものです。
侍ジャパンでは青柳投手、伊藤投手に加え、大野(雄大)投手、千賀(滉大)投手が、この2番手投手の役割を担うことになると思います。試合までのコンディションの整え方、気持ちの高め方など、先発とは違う苦労がいろいろあると思います。青柳投手は初戦で痛打を浴びてしまいましたが、変則右腕として活躍してもらわなければ困る投手です。次はどこの場面で起用するか。首脳陣の決断が注目されます。
好調の選手、調子が上がらない選手とそれぞれいますが、国際試合は勝つことが全てです。全部が全部うまくいったら苦労しない。個々で反省しなければいけない点はあると思いますが、2連勝ときっちり結果を残している。
3戦目の先発は田中(将大)投手です。メジャーから日本球界に8年ぶりに復帰した今シーズンは、打線の援護に恵まれず4勝と白星は伸びていませんが、投球内容は悪くありません。経験豊富な投手ですし、大一番に強い。国際試合で投げることで、本来持っている力が引き出されると思います。どんな投球を見せてくれるか楽しみですね。
(企画構成/YOJI-GEN)
野村弘樹(のむら・ひろき)
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ