【YouTube企画】星野ジャパン同窓会 ―北京の記憶―

里崎&成瀬が考察「北京五輪4位の理由」 星野ジャパン同窓会・バッテリー編(1)

ベースボール・タイムズ

里崎智也(左)と成瀬善久(右)。ロッテの名バッテリーは北京五輪でもコンビを組んだ 【写真:アフロスポーツ】

 東京五輪が開幕し、野球日本代表「侍ジャパン」の戦いも始まる。決戦を前に、2008年の北京五輪に出場した「星野ジャパン」のメンバーが集結。野手編に続いて今回のバッテリー編では、里崎智也氏と成瀬善久氏の2010年ロッテの“史上最大の下克上”コンビが登場。まさかの「メダルなし」に終わった13年前の“苦い記憶”に自ら切り込みながら、当時のチーム状況と戦いぶりから課題を見つけ出し、東京五輪での金メダル獲得へのヒントを探す。

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両氏のトーク動画はスポーツナビ公式YouTubeチャンネルで配信中。

そうそうたるメンバーの中で先発したカナダ戦

 13年前の北京五輪で「星野ジャパン」は、「絶対、金メダル!」の期待を背負いながらも4位に終わった。決して戦力が足りなかった訳でない。今振り返ってもそうそうたるメンバーがそろっており、投手陣では開幕時の年齢順に、岩瀬仁紀(33歳)、上原浩治(32歳)、川上憲伸(32歳)、藤川球児(28歳)、杉内俊哉(27歳)、和田毅(27歳)、成瀬善久(22歳)、涌井秀章(22歳)、ダルビッシュ有(21歳)、田中将大(19歳)の精鋭10名。この投手陣を、矢野輝弘(39歳)、里崎智也(32歳)、阿部慎之助(29歳)の捕手陣がリードする形だった。

 当時、メンバーに選ばれた時のことを成瀬氏は「素直に嬉しかった」と振り返りながらも、直前のオールスターで8失点炎上した後での代表合流で、「よみうりランド(ジャイアンツ球場)で練習した時にけっこう野次られ、ブーイングがやばかった」と記憶する。しかし、本大会では奮闘する。特に2勝2敗で迎えた5戦目のカナダ戦では、先発して7回を2安打10奪三振無失点の快投劇を演じた。

 その試合でマスクを被った里崎氏は「捕手以外、全員左でビビった」と笑うと、成瀬氏も「元々、僕は左が得意じゃないし、これだけ左がいるのは憂鬱(ゆううつ)だなと思ったんですけど、逆を言えば左ばっかり並べてくれたので攻め方が楽だった」と笑み。「対応されなかったもんな」、「やっぱりキャッチャーが良かったからですよ」、「まあそうやな(笑)」と掛け合った。

情報が足りない相手と、どう対峙し、どう戦うか

北京五輪のカナダ戦で先発して7回2安打無失点、10奪三振の快投を演じた成瀬善久。本人の記憶にも強く残っている 【写真:アフロスポーツ】

 両氏は大会中の思い出を語り合う。2人が強く記憶しているのは、「選手村へ行った」こと。野球チームは選手村とは別のホテルに宿泊し、移動は練習場と試合会場のみ。他競技との関わりはほとんどなかっただけに、両氏は「唯一、五輪らしい思い出」、「最初から選手村で良かった」、「オグシオ(バドミントンの小椋久美子・潮田玲子)がいた」と語る。その“思い出”以外は、練習、試合の時間を除いて、ほぼホテルに缶詰め状態だったという。

 そこで頻繁に行っていたのが、他国対策のミーティングだった。しかし、「よくミーティイングはしたけど、あれで良かった?」と里崎氏は疑問を投げかける。そして「俺がロッテでしていたミーティングとは違った。俺が欲しいような内容は1ミリもなかった。ほぼ全員(攻め方が)インハイ・アウトローだった」と指摘。「最初はノートにそれぞれの選手に9マスを書いてイメージした」という成瀬氏も「印を書いているのがインハイ・アウトローしかないとわかって、ノートを持っていかなくなった」と苦笑いする。それほど、五輪では対戦相手の情報が極端に不足していたのだ。

 その状況に「あれならミーティングがない方が良かった。(WBCの時はなかった」と里崎氏。情報がないならば無理に対策を練る必要はない。「仮にミーティングするのならば、タイブレークの際にどういう攻めをしてくるのかという情報が欲しい」と里崎氏。さらに里崎氏は、キューバが当時、「(捕手が高めに構えたら)ベンチからスペイン語で“高め”って言っているらしい」と明かし、国際大会ならでは対策の必要性を訴えた。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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