【YouTube企画】星野ジャパン同窓会 ―北京の記憶―

里崎&成瀬が考察「北京五輪4位の理由」 星野ジャパン同窓会・バッテリー編(1)

ベースボール・タイムズ

初めてバッテリーを組む際の難しさとは

北京五輪で悔しさを味わったのが岩瀬仁紀(中央)だった。急造バッテリーの難しさもあった 【写真:アフロスポーツ】

 普段は別チームの投手と捕手が初めてバッテリーを組む場合も、国際大会では多くある。成瀬氏の「配球はどうしているんですか?」の問いに対して里崎氏は、「まったく難しくない。難しいのは1つだけ」とキッパリ。「変化球の曲がりが分からない。スライダーでも、真横に曲がるのか縦気味なのかスラーブ気味なのか、小さいのか大きいのかで違う。それだけが難しかった」と語る。

 だが、「それはブルペンで受ければ修正できる」と里崎氏。そして「配球は、嫌だったらピッチャーが首を振ればいい」と言い切る。それに対して成瀬氏は「相手バッターの情報がない分、首を振れない」と投手側の心理を解説。「キャッチャーが『これが良い』とサインを出してくれる。それに対して首を振って打たれた時に、里さんはシーズン中だったら『ほら見ろ!』って思っていると思いますけど(笑)、自信がない時、投げたいけど『もし』って考えた時、ピッチャーは守りがちなのかなと思う」とマウンド上で揺れ動く投手の心情を代弁した。

 その北京五輪で苦渋を味わったのが岩瀬仁紀だった。4試合に登板して3敗、4回2/3で10安打10失点(自責点6)の防御率11.57と振るわず。成瀬氏は「自分は投げたい球種とサインがマッチすることが多かったですけど、岩瀬さんはキャッチャーに引っ張って欲しいタイプ。すごく優しい人なので、自分が投げたい球を主張するイメージがない」とし、急造バッテリーの難しさを指摘した。

「勝ちたいという気持ちが強いほど負ける」

代表合宿で汗を流す稲葉ジャパンの投手陣たち。里崎氏は「気持ち」について語る 【写真は共同】

 そして両氏は、北京五輪で4位に終わった原因について、改めて考える。成瀬氏は「仲良くはなかったですよね」と指摘するも、里崎氏は「これは言い切れる。勝ったら仲が良い、負けたら仲が悪いって言われる」とキッパリ。勝つことでベンチの雰囲気もチームワークも良くなり、負ければチームの雰囲気は悪くなるのは必然だろう。その上で里崎氏は「大事なところでミスをしたら負ける」とし、さらに「勝ちたいという気持ちが強いほど負ける」と力を込める。

「気持ちの差で負けたというのが、俺は一番嫌い。そもそも、そんな弱い気持ちで戦っていたのって。もし気持ちの差で負けるのなら、2010年にロッテ(レギュラーシーズン3位)は日本一に1000%なってない。だってクライマックスシリーズは、俺らよりもソフトバンク(同1位)の方が絶対に勝ちたかったと思う」と、“史上最大の下克上”と呼ばれた快進撃の際の心理を明かし、「勝ちたいという気持ちが強いほど負ける。逆にプレッシャーになる」と稲葉ジャパンへアドバイスを送る。

 無理に力むことはない。「やることを準備して、ミスしなければ勝てる。今回の侍ジャパンも、ミスしようと思ってミスするヤツはいないけど、あんまり勝ちたいという気持ちが強いと負ける。平常心で、地の利を生かして、ミスなく戦ってほしい」と里崎氏。成瀬氏も「プレッシャーがあると動きが鈍くなる。ピッチャーだと力んで(コースが)甘くなる」と同調しながら、「楽しんでもらったらいい」と稲葉ジャパンにエールを送る。長年バッテリーを組んできた両氏の軽やかな掛け合いの中に、金メダルへのヒントが数多く散りばめられている。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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