もっともっと上手くなりたい なでしこジャパン・岩渕真奈のチャレンジ
先輩が自分にやってくれたことは、全部若い子にやってあげたい
正直な話、いま10代のころの自分みたいな子が近くにいたら、嫌かもしれない。でも「大人になったね」って思われるかもしれないけど、「誰もがみんな大人になるよ」って言える。振り返ると、本当に先輩に申し訳なかったなって思うので、先輩が自分にやってくれたことは全部若い子にやってあげたいなと思います。
【Marcio Machado/Getty Images】
不安もあると思うけど、わくわくと不安は紙一重だと思っています。私は、楽しいことが好きでチャレンジが好き。人に恵まれて助けてきてもらいました。どうにかなるよなって、助けてくれる人もいるし大丈夫って思えます。
いまヴィラで継続的に試合に出ることで、私は東京オリンピックに照準を合わせることができています。1年延期になったけど、開催が決まってからずっと目標にしてきた大会。2017年にドイツのミュンヘンを退団してINAC神戸に移籍したとき、オリンピックまではこのクラブで腰を据えてプレーして、女子サッカー界を盛り上げたいと思っていました。当時は右膝の怪我のリハビリ中だったのに、そんな自分を獲得してくれたクラブへ恩返ししたい。しっかり怪我を治して、コンディションを整えて、2020年に照準を合わせることにしました。東京オリンピックは、それくらい大きな目標。自分にとって16歳から、なでしこジャパンに入っているから、代表ではない自分に想像がつかないし、受け入れられない。なでしことして、世界の国と戦うのが好きなので、選ばれなかったなでしこを応援できないタイプだから、そういうタイミングがきたらやめるのかなって思うくらい、なでしこは私の一部です。
それに、オリンピックで金メダルを取るのはW杯と違う意義があると思います。オリンピックで、金を取らないと女子サッカーが埋もれちゃうと思います。だからこそオリンピックが大事で、それを達成したいです。
でも延期になったことで、いろいろと状況が変わりました。自分のサッカー人生でもう一度海外に挑戦したいと思ってもいたので、今年の夏にオリンピックが終わってから海外挑戦することも考えました。でも、もし現役生活を再来年のW杯で終えるとしたら、あと2年間しか海外でプレーできないことになる。それだったら、少しでも早くチャレンジしておきたかった。もしかしたら、また延期になったり、中止になるかもしれないと考えると、いち早くこの冬に海外にチャレンジするしか選択肢はありませんでした。
そして自分が思い描く引き際って、どんな感じだろう。東京オリンピックか、次のW杯で優勝できたら、もう未練なく選手をやめるのかもしれない。「もう選手やめられるんじゃない?」っていうくらい大きな覚悟を持ってやってるから。いずれにしても、“なでしこジャパン”と現役生活で残された時間は少ないという感覚なんです。
でももしかしたら、また「もっともっとうまくなりたい。成長したい」って思っちゃって、パリオリンピックを目指したくなるのかもしれない。それとも、しがみつかないで「美しく去りたい」と思っているかもしれない……。
【Hiroki Watanabe/Getty Images】
サッカー人生の集大成だから……とにかく楽しんで、頑張って。
決勝でゴールして、ヒーローになりたいですね!