担当コーチに聞く桃田賢斗の状態 復帰戦、ライバル、金メダルへの課題
モデルチェンジが必要
世界に研究され、短いラリーで攻め込まれると苦しい展開になる桃田。今後はモデルチェンジにも取り組む必要がありそうだ 【Getty Images】
今回もそうでしたが、桃田選手はだいぶ研究されているなという感じがあります。この2年ほどで苦戦したり、負けたりしている試合は、同じ展開です。レシーブを主体にじっくりと試合を進める桃田選手に対し、相手が短いラリーで攻め込み、第1ゲームを奪って先行逃げ切りをするパターンです。そこにどうやって対抗するかが、五輪までの3カ月の勝負所だと思います。試合序盤、相手の体力が十分にあるうちに攻められ過ぎているので、スピードを上げた展開の中で、こちらから攻めるか、守備をするにしてももう少しスピード面で対抗しないといけないと思います。スピードがある中でのラリー展開で主導権を握れるようなモデルチェンジが課題だと思います。
――東京五輪までの3大会(5月のインドオープン、マレーシアオープン、6月のシンガポールオープン)は、どういう舞台にしていきたいと考えていますか?
桃田選手に関しては、課題を修正して、できれば優勝してもらいたいです。良いプレーをしても勝たなければ自信にはなりませんし、成績以上に自信になるものはありませんから、勝って五輪に向かってほしいです。また、五輪出場権獲得レースで常山幹太選手(トナミ)が12位、西本拳太選手(岐阜県バドミントン協会)が17位にいて、16位以内に入った上位の選手は、桃田選手とともに五輪に出場できます。常山選手は、欲を言えば、東京五輪のシードのことも考えて8位以内を狙ってほしいところ。ちょっとポイントが離れていて難しいですが、全英オープンでもベスト4のアントンセン選手と良い勝負をしています。シードを取れればメダルも狙えますし、東京五輪の上位で日本人対決を期待できるようになるのが理想です。あとは、西本選手がどれくらい巻き返すか。3大会で1つでも優勝ができれば、逆転は十分に可能なので、こちらも頑張ってほしいところです。
14カ月ぶりの国際大会で桃田は敗れたが、中西コーチは「勝ち続けていたから、負けたインパクトが大きいかもしれませんけど、負けが続くようになったとか、以前は勝てた相手に勝てなくなったとかいうことではないです」と、一つの黒星に必要以上に過敏になる必要はないという姿勢を示した。
全英オープンでは、コロナ禍でライバル不在の影響もあり、男子シングルスを除く4種目で日本が優勝。「私の担当種目だけ勝てず(桃田の優勝が続いた)2019年には感じなかった肩身の狭い思いをしましたよ」と苦笑いを浮かべたが、「それが、次の原動力」とも話した。桃田も自身のSNSで巻き返しを誓っている。そもそも、国際舞台に戻ったこと自体が前進だ。久々の敗戦で残り3カ月の課題も明確になった。試合の出足に磨きをかけ、東京五輪では、付け入る隙のない王者の姿を見せてくれるはずだ。