瀬戸の復活、池江の代表入りは? 競泳ジャパンOPそれぞれの手応え
記録アップの要因は「体重の増加」
レースに出場するたびにタイムを伸ばしている池江だが、「焦らずにやっていきたい」と東京五輪へは慎重な姿勢だ 【写真は共同】
「一番で通過できたことと、目標タイムが25秒3だったので、25秒0と大幅に(目標を)更新できて嬉しかった」
決勝は、大本理佳(ANAイトマン)に敗れたが、学生新記録となる24秒91の好タイムで2位となった。池江は、2019年2月に白血病と診断されたことを公表。長期療養を経て20年8月、1年7カ月ぶりに復帰すると、レースを重ねるごとに記録を伸ばしてきた。しかし、これまでは序盤で引き離されてしまっていた。
「最初の15メートルで離されてしまう原因は体重。合宿では、体重を戻すことにフォーカスしてきた。元々(療養前)から15キロちょっと落ちましたが、10キロまでとはいかないけど、5キロちょっとまでは戻ってきている。体重を増やした方が、飛び込んだ瞬間に前進できる。後半の伸びは引けを取らないと思っていた」
白血病の罹患が判明してから2年というタイミングで、国内トップレベルまで戻ってきた池江。ここまでを振り返ると笑顔を見せた。
「まだ(復帰して)泳ぎ始めて1年経っていない状況の中で、自己ベストからコンマ何秒というところに戻って来られたのは、ものすごく嬉しい。今までの(療養前の)自分の記録は、もっと行けていたんじゃないかという感じで泳いでいる」
「東京五輪を目指してやっているとは言い切れない」
しかし、国内トップの争いができる状況まで戻って「50メートル自由形はもう(復帰後)何本も泳いでいる種目になるので、まずはこの種目から王座奪還が目標。少しずつ上り詰めていきたい」と強気の姿勢も戻り、1位にこだわる闘志を示した。
20、21日に行われる東京都オープンでは、最も得意とするバタフライの50、100メートルの2種目にもエントリー。昨年6月から指導にあたっている西崎勇コーチは「日本選手権の出場種目は、東京都オープンのバタフライの結果を踏まえて決めたい。日本選手権の参加標準記録を突破することで、最大限に選択肢を広げた中で方向性を決めたい」と狙いを明かし、池江は「(復帰後)初めてバタフライに出場する予定で、自信は正直ないですけど、自分なりに精いっぱい泳げればいいかなと思う」と自然体で意気込みを語った。
各自がそれぞれの手ごたえを得て、東京五輪の日本代表選考会となる4月の日本選手権に向かう。瀬戸は完全復活を印象付けられるか、池江が東京五輪の代表になる可能性はあるのか。ほかにも世界トップクラスの争いを見せる男子平泳ぎの佐藤翔馬(東京SC)、渡辺一平(トヨタ自動車)の戦いなど見どころ満載。コロナ禍の終息が見えず、大会は無観客開催ではあるが、夢を追う選手たちは、勝負の舞台に向け着々と準備を進めている。