連載:怯まず前へ 常に結果を出し続けるチームと強い心の作り方

コロナ禍をどう切り抜けるか 酒井監督が描く東洋大のリスタート

構成:ポプラ社

コロナウイルスのチームへの影響

2019年夏季ユニバーシアードにて、男子20km競歩でワンツーフィニッシュを遂げた池田(中央、1位)と川野(左、2位)。 【写真:アフロスポーツ】

――東洋大学陸上競技部(長距離部門)は今、寮が閉鎖していると聞きましたが、今回のコロナウイルスに関する一連の対応を教えていただけますか?

 東洋大学では走力に関係なく全員が同じ寮で生活しています。移動制限や選手の実家がある地方が不安な状況になる前の3月中に、自宅待機という形でほとんどの学生が寮を離れました。首都圏で感染が広がってからの移動になると、いろいろな方に迷惑をかけてしまいますから。いろいろな家庭環境があるので、数人は寮に残って自主練をする選手もいました。

 それから、緊急事態宣言前に大学の活動や課外活動が完全自粛となりました。寮も閉鎖し、大学のトレーニング施設も利用ができない状況になったので、学生たちはすべて実家に戻りました。今は監督、コーチたちが事務作業や管理目的で行くだけで寮や施設は完全に閉鎖しています。

――この時期にどう練習されているかを教えていただけないでしょうか?

 前提として、社会の一員として、今、自分自身が何をしければならないかとなったときに、無症状でも自分も感染しているかもしれないと自覚し、感染拡大につながる行動をしないこと。他人との接触を8割削減し、三密を避けることを考え、自宅で待機する。もちろん自主練でトレーニングはしますが、それにより人に感染させない。たとえば、屋外では人のいない場所や時間帯で行ったりするなど工夫が必要です。

 くわえて、チーム間のやり取りとしては、寮でやっていたミーティングは、オンラインでZoomやLINEなどで行っています。新チームになってからテーマごとのグループを作りましたがここに生かされています。同学年ミーティングに加え、学年をミックスしたグループでオンラインミーティングをしています。学生スタッフと私たちもオンラインミーティングを行っています。

 体調の把握も大事なので、全員が毎日朝晩の検温とコンディションや体重、練習内容をアプリのシートに毎日記入しています。それを監督、コーチが毎日確認してコメントをします。

 動画を撮った選手は送り、他にもフィジカルトレーニングは自宅で各自ができることを行っています。随時、フィジカルトレーニングや可動域を拡げ、柔軟性を高めるトレーニング動画も送っています。連絡は毎日取り合っており、選手たちからも練習の相談の連絡が個人的にあります。環境が異なるので練習内容も異なります。自宅待機前よりも、選手たちが自ら考え行動しているのが見えるので成長を感じています。
――長距離競技部には、競歩で東京五輪の代表内定選手が2人いますが、競歩はいかがですか?

 競歩は長距離の選手が行っていることに加えて、歩型のチェックがあります。具体的には、動画を撮って送ってもらう方法で歩型のチェックを妻が毎日しています(編集注:監督夫人の瑞穂さんが競歩担当コーチを担っている)。競歩では、歩型が崩れることで痛みが出たり、動きが変わってしまったりします。一人で練習することでフォームが崩れても気づかないこともあるので、対面の時と同じように、妻と二人はよく会話もしていますし、コミュニケーションを取っています。

 妻とは私の監督要請を受けた時に、とても悩み、話し合いました。著書に書いた、「滅多にないチャンスだから」の一言ではなく、たくさんの思いが妻にはあったのも理解しています。最終的には私が監督要請を受けましたが、妻の手放してきたこともたくさんあります。妻は自分の可能性よりも、私の指導者としての道を考えていました。妻は県立高校の体育教員となり福島県の強化コーチとして、学校の垣根を越えた指導をしていました。私は妻の指導力を尊敬していましたし妻の指導者としての道が断たれたことに心残りでした。

 池田、川野の二人の才能ある選手がいて、東京五輪に向けてこの二人の指導を任せられるのは妻が適任だと思っています。自主練習中ですが池田、川野とも東京五輪に向けて高い意識レベルで、寮にいる時と同じように練習に励んでいます。

(協力:名久井梨香)

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