PGAツアー有数の飛ばし屋として知られる、トニー・フィナウ。2018年には平均飛距離315ヤード以上を記録して、飛距離ランキング4位となりました。フィナウの特徴は飛ばし屋でありながら、スイングが非常にコンパクトなことです。

　なぜ、コンパクトなスイングなのに、遠くへ飛ばせるのか……。コンパクトなスイングで飛ばす秘訣を、トニー・フィナウのスイングから学びましょう。

　トニー・フィナウのSNSを見ると、普段では見られないほど強振している動画がアップされています。動画内では、弾道計測器でトータル400ヤード超の飛距離を記録していました。そのスイングで印象に残っているのは、試合時よりトップの位置が高かったことです。このことから、試合ではトップの位置を意図的にコンパクトにして、方向性を重視していることが分かります。しかし、コンパクトなトップでも効率的に力を伝えることができるため、毎年、平均飛距離約310ヤードを記録しているのです。

　オーバースイングを直そうと思っているアマチュアの方も多いと思いますが、単純にトップを小さくするだけではボールは飛ばなくなります。また、トップを小さくしたつもりでも、飛ばそうと力むあまり、結局トップの位置が高く上がってしまう方もいます。

　フィナウのようなコンパクトトップを身につけるポイントは2つあります。1つ目は、バックスイングを加速と減速の2段階に分けて考えることです。加速はバックスイングで左腕が地面と平行のポジションまで、減速は左腕が地面と平行のポジションからトップまでです。前半は下半身の動きで一気に加速し、後半は惰性に任せて減速するイメージです。バックスイングの最後までクラブを上げるスピードが同じだと、クラブがトップで止まるタイミングが遅くなり、オーバースイングになりやすくなります。アマチュアの方には始動はゆっくりで、後半にクラブを持ち上げようとしている方が見られますが、オーバースイングの原因となるので気を付けたほうがいいでしょう。

　2つ目は下半身の動きです。バックスイングで左腕が地面と水平になった時に、左足の踏み込み動作を行います。切り返しに必要な左足の踏み込み動作をトップに行く前に行うことで、バックスイングと反対方向の力が加わり、トップの位置が小さくなります。このように下半身を使ってスイングをすれば、トップの位置が小さくても力強くスイングすることが可能となり、ボールにしっかりと力を伝えることができます。

　オーバースイングになると、スイングが不安定なため、打つたびにボールが右に行ったり左に行ったりします。「どうしても球筋が安定しない」と悩んでいる方は、ぜひフィナウのコンパクトトップをマネしてみてください。

（監修：吉田洋一郎/ゴルフスイングコンサルタント）

■吉田洋一郎プロフィール
シングルプレーヤーを目標達成に導くゴルフスイングコンサルタント。世界で最も有名なゴルフインストラクター、デビッド・レッドベターから世界一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。毎年数回ゴルフ先進国アメリカやヨーロッパに渡り、PGAツアー選手を指導する一流インストラクターに直接学ぶなど、心技体のゴルフ最新理論に関する情報収集と研究活動を行っている。実際に教えを受けた著名ゴルフインストラクターの数は100名を超える。監修した書籍「ゴルフのきほん」は30,000部のロングセラー。ゴルフ雑誌、スポーツ新聞にて連載を3つ持ち、世界のゴルフティーチングに関する情報発信を行っている。公式サイト：http://hiroichiro.com/