18歳・河村勇輝、確かな覚悟でB1挑戦 衝撃デビューも「悔しい」と語るワケ

大島和人

三遠では得点力が求められている

現在のチーム状況を見て「スコアリング重視」のプレーをしている 【(C)B.LEAGUE】

――高1のウインターカップで河村選手に話を聞いたときに、「遠目のシュート」「速攻が勢い任せになる」と自身の課題を挙げていましたよね。あれから2年経って、今はプロの世界でその両方を強みにしています。

 高1のときは全く経験もありませんでした。だけど高2、高3で(育成年代の)日本代表としてアジアのチーム、世界のチームと戦う機会がありました。どういうシュートだったらあの高さでも打てるのか、高校のうちに習得できました。それをプロの相手に応用して、うまく使っている感じです。

――高校時代と比べて、三遠ではより自分が取りにいく傾向が強まっています。どんな理由ですか?

 福岡第一は周りが高校トップレベルの選手ばかりでしたし、監督の井手口(孝)先生からも「自分がやるところ、やらないところをうまく使い分けなさい」と指示を受けていました。自分もパスでうまくチームをコントロールしたいと考えていて、パスが多めでした。今は少しフォワード陣のケガ、センター陣のいろんなこと(負傷、体調不良による複数選手の離脱)がある中で、ガードに求められているのは得点力だと考えています。

――千葉戦では富樫勇樹選手、新潟戦では五十嵐圭選手が相手にいました。新旧の日本代表とマッチアップした感想はどうですか?

「ここ」というタイミングでシュートを決めたり、パスをうまくしたり……。富樫選手も五十嵐選手もチームを勝たせるプレーをしているなと感じました。自分たちが追い上げているときにパーンと決めてくる。流れを断ち切るパス、シュートを出してくる。終盤の大事なときに決めてくる勝負強さはすごいなと思いました。

2028年のオリンピックが目標

日本代表は意識していると語った河村。近い将来アカツキファイブでもその雄姿を見ることが出来るかもしれない 【(C)B.LEAGUE】

――河村選手は高2、高3と出場した公式戦に一つも負けていません。でも三遠ではまだ一度も勝てていません。負けから学ぶこともあると思いますが、「負ける」ことをどう受け止めていますか?
(編注:河村選手はFIBA U18 アジア選手権と日程が重なったため高2のインターハイを欠場。高2秋の国体から4つの全国タイトルをすべて取っている)

 悔しいですし、次リベンジしてやるという気持ちは強いです。ただ負けたことだけを引きずって「次リベンジしよう」というだけでは、選手とチームの成長はないと思います。なぜ負けたのか、逆に次どうしたら勝てるのかを選手同士、チームの中で話し合うところが大事です。
高校のときは負けがほとんどなくて、勝てば気持ちが良くて、あまり振り返ることもありませんでした。負けることで「自分がどうだった」「チームがこのコンセプトをできてなかった」と試合をしっかり振り返れています。

――日本代表は意識していますか?

 自分の一番の将来の目標が日本代表のPGになることなので、意識している部分はあります。でも今はチームの勝利を目標としています。

――今年は東京でオリンピックがあって、23年にはワールドカップ、24年にはパリ五輪が待っています。「いつまでに代表へ入りたい」という目標は持っていますか?

 2028年にロサンゼルスオリンピックがあるんですけど、そこは絶対に入りたい。その前に早い段階に入れればうれしいですけれど、2028年は絶対に入れるようにしたいです。年齢的にも27歳で、経験も積んでいい頃だと思います。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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