18歳・河村勇輝、確かな覚悟でB1挑戦 衝撃デビューも「悔しい」と語るワケ

大島和人

高校No.1ポイントガードがBリーグの舞台でもインパクトを残している 【(C)B.LEAGUE】

 172センチの18歳が強烈なサプライズを起こしている。河村勇輝の出場はまだ5試合だが、富樫勇樹や金丸晃輔をしのぐ平均14.6得点を記録。チーム事情もあるが、平均27.0分と主力級のプレータイムを得ている。(※成績は21節終了時点)

 彼は高2、高3のウインターカップ(全国高等学校バスケットボール選手権大会)で福岡第一高を優勝に導いた。2019年11月の天皇杯2次ラウンド1回戦でも、千葉ジェッツから21得点10アシストを奪っている。高校No.1ポイントガード(PG)として、大きな注目を浴びてのプロ入りだった。それでもこの結果、鮮烈なプレーは周囲の期待を確実に上回っている。

 ただし河村の立場は高校・大学のバスケ部に登録しながらBリーグでプレーできる特別指定選手だ。三遠でのプレーは東海大進学までの約2カ月間が予定されている。

 インタビューの前編では日本バスケの新星が何を考え、B1の経験をどう受け止めているかを聞いた。河村が確かな意識と覚悟を持ってプロに足を踏み入れたことが、よくお分かりいただけるはずだ。

一晩で頭にたたき込んだプレイブック

勝ち星に恵まれていないが、チームメートとかみ合ってくればチームも安定すると語る 【写真提供:三遠ネオフェニックス】

――B1の戦いを経験した感想は「やれた」「悔しい」のどちらが強いですか?

 個人よりもチームの結果が最優先なので、悔しさが一番きています。チームを勝たせて、はじめてうれしいという気持ちがくる。だからうれしさはないです。

――間違いなくファンの期待以上のパフォーマンスを見せていると思います。個人のプレーについてはどうですか?

 自分のいい部分、特徴をうまく出せている部分はあると思います。ただターンオーバー、ミスが少し多くて、そこは修正しなければいけません。チームメートとのタイミングを合わせて、自分のミスを減らしていけば、チームも安定するはずです。

――三遠の河内修斗ヘッドコーチが「河村選手にプレイブックを渡したら、翌日の練習ですぐその通り動けていた」と驚いていました。(プレイブック:チームの基本プレーが書いてある資料。少なくとも数十種類のパターンが載っている)
 全体練習の前日にプレイブックを渡されました。チーム練習で絶対に迷惑はかけられないなと。個人練習が終わったらすぐプレイブックをひたすら読み、頭にたたき込みました。(編注:全体練習の初参加が1月19日で、出場は25日の千葉戦から)

――すぐ覚えられましたか?

 寮の部屋に戻ってわーっと読み返して、ご飯を食べたらもう一回読み直して、寝る前にももう一回読んで、次の練習の日の朝にもう一回目を通して……。それで一気にたたき込みました。短時間に区切って繰り返したほうが、覚えられるかなと思っていたのでそうしました。

――コーチから「明日までに急いで覚えるように」と指示はあったんですか?

 全然ありません。「だんだんとやっていくうちに覚えよう。こんな感じだから」と言われたんですけれど、試合もすぐでしたし、自分は早くたたき込もうと思いました。練習までに全部覚えました。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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