上位拮抗のマイルCSをデータで攻略 好走パターンをタイプ別で総まとめ

JRA-VANデータラボ

前走レース別成績

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は前走レース別成績。やはり東西の前哨戦である富士SとスワンSからの出走が多く、この両レースでは富士Sのほうが優勢のようだ。ただし、どちらも出走例が多いぶん、好走率はそれほど高くはなく、しっかりとした取捨が必要になる。東西の前哨戦以外では、2000mの天皇賞・秋、札幌記念、1800mの毎日王冠、府中牝馬Sなど、本番より距離が長いレースを使っていた馬の好走が目立つのも特徴と言える。

前走富士S出走馬の各種データ

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は、前走富士S出走馬の前走着順別成績と人気別成績を示したもの。富士S1着馬はマイルCSでも手堅く走っている一方で、2〜4着馬は合わせて【0.1.0.13】と振るわず、16年に富士S2着馬イスラボニータが本番でも2着に入っただけ。むしろ、5着や6〜9着のほうがよく走っている。もっとも、着順以上にマイルCSとの関連性が見られるのが人気で、この組の好走馬は富士Sで1〜5番人気だった馬に限られる。したがって、まずは前走人気を確認し、そのあとで前走着順も併用するのがベターだろう。

前走スワンS出走馬の各種データ

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表7は、前走スワンS出走馬の前走着順別成績と4角通過順別成績を示したもの。着順に関しては1〜3着に入っておきたいところで、好走した6頭中5頭が該当する。4着以下でも10年に大きな穴をあけたエーシンフォワードの例はあるものの、好走率としてはかなり下がってしまう。また、4角通過順も大事で、好走した6頭中5頭はスワンSで4角7番手以下だった馬だ。

前走芝1800m以上重賞出走馬の各種データ

表8 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5の項で、前走で芝1800m以上の重賞を走り、距離短縮で臨む馬の好走例が少なくないことを述べた。表8は、このケースに該当する馬のデータを示したもの。前走着順から見ていくと、やはり1〜3着に入っていた馬の数値が良好で、基本的には5着以内、悪くともひとケタ着順には入っておきたい。人気に関しても同様で、1〜5番人気と6番人気以下では明らかに好走率の差がある。距離短縮で臨む馬の前走に関しては、このあたりを目安に考えたい。

結論

 それでは最後に、今年のマイルCS出走馬について、G1で1〜3着の実績があるか否かに分けて、データから有力と思われる馬を挙げていきたい。

 表3の項で確認した通り、過去10年のマイルCSを制した馬はすべてG1で1〜3着に入った実績を持っており、本命・対抗級の評価をする馬に関しては特に重要なデータと言える。今年、G1で1〜3着の実績を持つ馬は全部で9頭。そのなかで有力と思われるのは、前走天皇賞・秋で3番人気2着のダノンプレミアム、毎日王冠で1番人気1着のダノンキングリーと3番人気3着のインディチャンプ、スワンSで4角9番手から2着だったモズアスコット。この4頭ということになる。年齢も考慮すれば、4歳のダノンプレミアムインディチャンプがより有力ということになりそうだ。

 次いで、G1で1〜3着の実績がない馬およびG1初出走となる馬を見ていく。この場合は過去に出走した芝1600mで高い複勝率を残していることや、前走で好走していることが大事だった。該当する8頭の戦績を確認すると、芝1600mで複勝率80.0%(5戦)のマイスタイル、同66.7%のレッドオルガとフィアーノロマーノ、同60.0%のダイアトニックの4頭がこの条件を満たす。このなかで前走の成績も考慮すると、スワンSを4角9番手から1着した4歳馬のダイアトニックが一番手。G1初出走となるが、近5走で4勝を挙げ、現在2連勝中と勢いに乗っている点も、過去の好走例にかなっている。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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