今年も混戦模様のB1西地区 6クラブの台所事情と上を目指す選手たち

カワサキマサシ

チーム編成に不安が見える地区王者の琉球

並里(写真)、岸本のガードコンビは健在も、昨季と比べて全体的にスケールダウンした感は否めない琉球 【(C)B.LEAGUE】

 4季目を迎えるBリーグが10月3日(木)に開幕する。今季のB1西地区はライジングゼファー福岡がB2に降格し、島根スサノオマジックが2017-18シーズン以来のB1復帰。昨季から引き続きの琉球ゴールデンキングス、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、京都ハンナリーズ、大阪エヴェッサ、滋賀レイクスターズを加えた計6チームで構成される。

 昨季の西地区を制したのは琉球。チャンピオンシップ(CS)はアルバルク東京に敗れたものの、2年連続のセミファイナル進出を果たした。今季の目標は当然その上に進むことだが、チーム編成には多少の不安が見え隠れする。ロスターは外国籍選手も含め、昨季から6人が交代。橋本竜馬、古川孝敏、アイラ・ブラウンと3人の元日本代表選手がチームを離れてしまい、昨季と比べて全体的にスケールダウンした感は否めない。

 今季もチームを率いるのは、3シーズン目となる佐々宜央ヘッドコーチ(HC)。並里成、岸本隆一のガードコンビが前線から激しく仕掛けるプレスから始まる、ディフェンスに力点を置いた戦い方は継続路線だろう。このスタイルの軸となる並里、岸本が残留し、なおかつ並里は琉球に復帰してこれが2シーズン目。岸本とのコンビプレーの練度が高まるのは、明るい材料だ。

 また昨季は右膝のけがでシーズンの半分を棒に振ったが、離脱するまでは1試合平均17.1得点と大黒柱の活躍だった、ジョシュ・スコットが契約を継続したのもプラス要素。その一方で新加入のデモン・ブルックス、ジャック・クーリーはともに日本でのプレーは初めてで力量は未知数。今季は外国籍選手の力に頼る部分も増えそうで、もし彼らがチームにフィットしないとなれば、苦戦は避けられない。

 今季の琉球は6人の残留選手と6人の新加入選手が、アグレッシブに守るスタイルのもとで融合を果たせるか。そこがカギとなる。

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継続による上積みを狙う名古屋D

張本ら継続して在籍する選手が多く、成熟度を増す名古屋 【(C)B.LEAGUE】

 名古屋Dは昨季、2年連続でCSに進出。しかし前季に続いて琉球に屈し、またもトーナメント初戦のクオーターファイナルで敗退した。シーズン終了後はすぐに、続々と契約継続を発表。日本人選手は全員が残留し、入れ替えはクレイグ・ブラッキンズが退団し、新外国籍選手イシュマエル・レーンが加わったのみにとどまった。

 名古屋DはBリーグ初年度こそ西地区5位に沈んだが2年目は中地区2位、昨季は33勝27敗で西地区2位の座を確保と、安定した成績を収めている。その礎になっているのは、張本天傑、安藤周人らの代表クラスをはじめ、タレント性のある日本人選手がそろっていること。

 昨季は高い個人技を生かしてアップテンポの攻撃から得点を重ね、チームの1試合平均得点はリーグ3位タイの81.2をマーク。梶山信吾HCが続投し、メンバーも不動であるなら戦い方は変わらないはず。今季のチーム編成には人事を動かして攻めるよりは、継続による上積みを狙う意図が見える。西地区は混戦模様だけに、チームのさらなる熟成が図れれば西のトップに立つ可能性もある。

マブンガ、サイモンへの依存度が高い京都

京都は松井ら新戦力との融合が期待されるも、マブンガ(写真)、サイモンへの依存度が極めて高い状況だ 【(C)B.LEAGUE】

 昨季の京都はチームの中核に据えていた永吉佑也が開幕直前に不祥事を起こし、1年間の公式戦出場停止に。苦戦は必至かと思われたが開幕2戦目から4連勝と、波に乗った。チームをけん引したのは、ジュリアン・マブンガとデイヴィッド・サイモンの外国籍選手コンビ。

 インサイドプレーヤーのサイモンは昨季、1試合平均24.3得点。アウトサイド、インサイドを問わぬ得点力があり、ときにゲームメークもこなすマブンガは同21.6得点。二人の合計はチーム総得点の7割を越え、なおかつともに1試合平均出場時間は約38分とコートに出ずっぱりで、フル回転の活躍だった。

 マブンガ、サイモンとも残留し、今季も二人を中心にしたチームになるだろう。昨季にない上積みになるのは、日本人ビッグマンの永吉が開幕からプレーできること。そこにベテランシューターの松井啓十郎、法政大に在学しながらプロでプレーする道を選んだ大型ポイントガード(PG)中村太地らの新戦力が有機的に絡み合えば、昨季よりも高いチーム力を発揮し、2017-18シーズン以来のCS出場も現実的だ。ただしマブンガ、サイモンへの依存度が極めて高いだけに、彼らに深刻なアクシデントが起これば戦いは一転して厳しいものになる。

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著者プロフィール

大阪府大阪市出身。1990年代から関西で出版社の編集部員と並行してフリーライターとして活動し、現在に至る。現在は関西のスポーツを中心に、取材・執筆活動を行う。

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