波乱のGI、立役者になるのはこの馬 スプリンターズS穴馬をデータ分析

JRA-VANデータラボ

前走セントウルSからの好走馬

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は、セントウルS組の好走馬13頭である。出走を取り消したキンシャサノキセキを除いた12頭のうち、9頭は同レースの3、4コーナーを3番手以内で通過。そして12頭中10頭は5着以内。この双方をクリアした馬は、【2.3.2.7】で複勝率50.0%の好成績だ。両条件をともに満たした好走馬は12頭中7頭。残る5頭もどちらか一方には該当しており、このうちマヤノリュウジンを除く4頭はG1馬か牝馬だった。

前走キーンランドCからの好走馬

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 続いて、キーンランドC組の好走馬8頭も見てみよう。その8頭中7頭は同レースで4番人気以内、そして全馬が8着以内。できれば3着以内が理想だが、「4番人気以内かつ8着以内」の馬でも【2.2.3.18】で複勝率28.0%、単複の回収率は230%、156%になる。

また、好走した8頭に共通するのは、その年に「好成績」を残していたことだ。具体的には「3勝以上」「重賞を含む2勝以上」、そして「重賞を含む3連対以上」のいずれかで、1つも該当しなかった馬の好走はない。

前走G1からの好走馬

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 北九州記念組からは好走馬が出ていないため(表4)、今年の登録馬でほかにチャンスがあるとすればG1組になる。そのG1組の好走馬4頭に、実際に出走した前走がG1だったキンシャサノキセキ(セントウルS取消)を加えた5頭が表7だ。この5頭のうち4頭は既にG1勝ちの実績があり、その年のG1でも3着以内に好走。残る1頭、15年3着のサクラゴスペルは重賞3勝馬で、そのうち2勝は7歳の同年に挙げていた。

結論

 今年の登録馬は、前走セントウルS組が7頭、キーンランドC組が4頭となった。このうち、特に「穴」として注目したいのは、キーンランドC組(表6)のリナーテだ。今年は【1.2.1.0】、敗れた3戦はすべて重賞で勝ち馬から0.1秒の僅差だった。勝利を挙げた2走前・UHB賞はオープン特別だが、「重賞を含む3連対以上」の条件は満たし、前走・キーンランドCも3番人気3着ならまったく問題ない。ただ、牝馬の穴馬は3着こそ多くても連対には届きづらいため(表3)、特に3連複や、3連単3着の穴候補として推奨したい。

 また、同レースを1番人気で制したダノンスマッシュも、もちろん有力な候補になる。今年はほかにシルクロードSでも優勝し「重賞を含む2勝以上」。今回の人気どころでは唯一、各データをすんなりとクリアしてくる馬だ。

 一方のセントウルS組(表5)では、勝ったタワーオブロンドンは中団からの差し切りだった。それなら、先行して2着に粘ったファンタジストのほうが配当妙味もありそうで、おもしろい存在だ。ほかに「3、4コーナー3番手以内」か「5着以内」のどちらかを満たす「牝馬」として、イベリス(3着)と、昨年の2着馬・ラブカンプー(11着、通過順2-2)が挙げられる。

 そして最後にG1組(表7)だが、今年は各条件をすんなりクリアする馬は不在だ。ただ一昨年の2着馬・レッツゴードンキは、7歳を迎えた今年も阪急杯では2着に入り、まだまだ力があるところを見せている。表7ではG1馬4頭(+年内G1で3着以内)と7歳・サクラゴスペルの中間にあたるようなタイプだけに、余裕があれば押さえておきたい。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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