オールカマーは東の2強対決となるか 割って入るならこの関西馬3頭

JRA-VANデータラボ

前走クラス別成績

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表4は前走クラス別成績。前走G1の好走例が最多で、好走率も抜けて高く、しかも単複の回収率は100%を超えている。前走海外(すべてG1)を含め、このデータからも実績馬が強いレースであることがわかる。前走G1以外の好走馬は計11頭おり、そのうち10頭は前走でG2かG3に出走。つまり、前走が重賞以外のレースだった馬の好走は1頭しかなく、かなりの苦戦となっている。

前走レース別成績(同年の国内G1のみ)

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は、同年の国内G1に限った前走レース別成績。同じ2200mということもあって前走宝塚記念の出走例が多く、成績も非常にいい。そのなかでも「宝塚記念で9着以内だった牡馬」に限れば【2.3.2.0】と、すべての馬が好走を果たしている。次いで出走例が多いのは天皇賞・春だが、距離が1000mの大幅短縮となる影響もあるのだろう、好走率は宝塚記念よりだいぶ下がる。いずれも出走例は1回ずつながら、1600mのヴィクトリアマイル、安田記念はその1回できっちり結果を出しており、こちらのほうが相性はいいようだ。

前走G1以外の1〜3着馬の芝2200m実績

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は、前走でG1以外のレースに出走し、オールカマーで1〜3着に入った11頭の一覧で、主な芝2200m実績(前年・同年のみ)を付記している。こうして見ると、11頭中8頭は芝2200mの重賞で3着以内か、条件戦で1着の実績を持っていたことがわかる。また、出走歴がなかった3頭のうち、09年3着のシンゲンと13年1着のヴェルデグリーンの2頭はのちに芝2200m重賞を制しており、結果としてこの距離を得意とする馬だった。前走G1などの格上馬が強いオールカマーにおいて実績面で見劣る馬が食い込むためには芝2200mの適性を活かすのが近道となるようだ。

結論

 今年のオールカマーで人気が予想されるのがレイデオロウインブライト。いずれもほかの馬より2キロ重い58キロを背負うことになるが、4歳以上の牡馬は斤量が重いほど好成績で、その点は心配しなくていいだろう。

 レイデオロは宝塚記念以来。宝塚記念では5着と不本意な結果に終わったが、オールカマーに関しては「前走宝塚記念で9着以内だった牡馬」という凡走なしの条件を十分に満たす。ウインブライトはG1初勝利を飾った香港のクイーンエリザベス2世C以来。前走海外は【1.1.0.1】と悪くない成績を収めており、昨年2着のアルアインとまったく同じ実績あるローテーションなので不安はなさそうだ。

 ただし、この2頭はどちらも関東馬。表2の項で確認した通り、関東馬は1着と3着が多く、2着が少ない傾向にあった。実際、集計対象の9年で関東馬の1、3着が4回あったのに対し、ワンツー決着は1回のみ。実績的には明らかに格上の2頭ではあるのだが、関西馬に割って入られる可能性は考慮しておいたほうがいいのかもしれない。

 その候補となる関西馬としては、「前走宝塚記念で9着以内だった牡馬」という条件を満たすもう1頭の馬であるスティッフェリオだろう。そのほか、前走G1出走馬以外では前年・同年の芝2200m実績を重視し、18年AJCC2着のミッキースワロー、18年セントライト記念3着のグレイルの2頭を挙げておきたい。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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