大谷の非凡さ示す「ありえない」打球角度 夏場の爆発へ、カギは配球への対応
本塁打にならないのは「上がりすぎ」
【出典『baseballsavant.mlb.com』】
また、2つのポップアップは50度と51度。43度以上の3本と合わせると、この5本が、平均値を引き上げていることが分かった。よって大谷も先日、こう話したのである。
「上がりすぎるのもあった」
では、角度をつけた打球を無駄なく長打にする大谷らしさを取り戻すには、何が必要なのか。そこを突き詰めると、「適応」という要素がやはり重要となる。
角度をつけた打球を無駄なく長打にするのが大谷の“らしさ”。それを出すには、やはり「適応」が重要になる 【Getty Images】
ところが、7月12日から30日は、打率.158(19打数3安打)、長打ゼロ。平均打球角度は17.7度で、平均打球速度は94.4マイルだったが、打球が上がれば打球速度が伴わず、打球速度が早いときは角度がつかなかったりと、ちぐはぐだった。
鍵は、どう「変化」に対応していくか
6月4日から7月7日までと7月12日から30日までの2つの期間に分け、打者有利のカウントで相手がどんな球種を投げたかを比較すると、これだけの違いがあった。
表1:6/4〜7/7における打者大谷が有利な状況での球種 球種略称:FF/4シーム FT/2シーム FC/カッター SI/シンカー SL/スライダー CU/カーブ KC/ナックルカーブ CH/チェンジアップ FS/スプリット 【出典『baseballsavant.mlb.com』】
表2:7/12〜7/31における打者大谷が有利な状況での球種 【出典『baseballsavant.mlb.com』】
一方、後者(7月12日〜31日、表2)では、相変わらず4シームが31.0%で一番多いものの、チェンジアップ22.0%、スライダー15.0%と続き、変化球の割合が増えていた。
伴ってコースにも変化があり、前者は外角中心だが、後者は低め中心となっている。
打者大谷が有利な状況での投球コース。左が6/4〜7/7、右が7/12〜7/31の間のデータ 【出典『baseballsavant.mlb.com』】
では、そんな変化に大谷がどう適応するか。
まぎれもなくそれは今後の見どころだが、同時に大谷は、自分自身の状態をいかに高めるか、に神経を集中させていた。
8月3日の夜、仮に1試合で20球を見るとすれば、少なくとも1球はホームランにできる球があると思うか? と問うと、「ありますね」と答え、続けた。
「もちろん、ホームランにできるボールがきたからといって、ホームランにできるわけではない。そこが難しい。でも、『今の打てたな』って思えるか、『甘くてもやっぱり今の打てなかったな、打てそうになかったな』って思うかは、自分の状態次第」
2019年、夏。
大谷は、失投を確実に仕留められるようなハイレベルな打撃技術を模索する。
JALは、日米間の渡航サポートを通じて、世界を舞台に挑戦を続ける大谷選手を応援しています
【(C)Japan Airlines】