欧州へ渡ったシュミット・ダニエルの本心 海外移籍は「行きたいという一心だった」
仙台での一番の思い出は「天皇杯決勝」
大好きなチームでの一番の思い出は「昨年の天皇杯決勝」だと振り返る 【(C)J.LEAGUE】
離れるときにあらためて思ったのは、俺、やっぱりこのチームが好きだな、ということ。小さい頃から憧れていたし、スタジアムに何度も応援に行った。すごく覚えているのは中学校に上がる前、小6の頃からかな、仙台がJ1に上がって。
――清水秀彦さんが監督を務めていた頃ですね。
当時の僕のアイドルはマルコス(パウロ・ソウザ・リベイロ)と岩本輝雄さんで、特にマルコスの大ファンでした。スタジアムはいつも満員で、街中が熱狂していて。そんな記憶があります。そういうクラブで主力としてプレーさせてもらえて、子どもの頃の夢がかなったような気分でしたし、仙台でプレーできて本当に良かったなと思います。
――ベガルタでの一番の思い出は?
やっぱり(昨年の)天皇杯決勝ですかね。良い思い出というわけではないんですけれど、決勝という舞台は、すべてのプレーヤーが踏める場所ではないので。その舞台を経験できたこと、そこで(浦和レッズに)敗れて悔しさを味わったこと、そのすべてが良い経験だったと思います。
――仙台のチームメートからは、どんな言葉で送り出されたんですか?
普通に「頑張ってね」って(笑)。
――それだけですか?(笑)
熱い言葉を掛け合うなんて、ないです。僕自身がそういうタイプなので(笑)。
「英語を話してみたら意外としゃべれた」
チームメートとのコミュニケーションも「今のところ問題ない」と言う 【飯尾篤史】
こぢんまりしていて、いいですね。いろいろなところに歩いて行けるし。ぶらぶら歩いているんですけれど、今のところ全然飽きないです(笑)。
――散歩感覚で?
はい。ご飯も美味しいです。この前、街の中心地にあるイタリアンに入ったんですけれど、すごくおいしかった。気に入りました。
――ホームスタジアムの「スタイエン」の印象は?
小さいけれど、ホテルとか、カフェとか、スーパーとかが併設されていて、複合施設みたいな感じじゃないですか。街の人たちが集まってくる場所という感じ。田舎のクラブでスタジアムが果たすべき役割をしっかり果たしているように感じました。
――ピッチの脇にもカフェのテラス席が用意されていて、そこで家族がコーヒーを飲んでいたり。
そこでコミュニティができる、みたいな。この間の練習試合(7月17日のロンメルSK戦)も、たくさんの人たちが見に来たし、やっぱりみんなサッカーが好きなんだな、と感じました。
――今はチームの寮で暮らしているそうですね。
そうなんです。ブリュッセルで家を探そうと思っているんですけれど、まだ探せてなくて。ここからブリュッセルまで車で40分くらい。家族が暮らしやすくて、便利なところに住みたいと思っています。そういうことは、移籍が決まったあと、(チームメートの遠藤)航と連絡を取って、いろいろと教えてもらいました。
――お子さんは、2人でしたっけ?
3歳と0歳、2人とも女の子です。上の子もまだ幼稚園には行っていなくて。ここに来るタイミングで通い始めればいいかなと。ブリュッセルだとフランス語か。娘がフランス語をしゃべられるようになったら面白いな(笑)。娘たちには僕にとって“癒やし”なので、早く来てほしいです。
――新しい環境に飛び込むのは、得意なほうですか、それとも苦手なほう?
あまりストレスを感じないほうだと思います。何かあっても、面白いって思うんですよね。この人たちは、こういう感じなんだって。店だって、こんなに早く閉まっちゃうんだって。
――そこでイラッとせずに、「ああ、そうなんだ」って面白がれる?
意識して、そう受け取るようにしています。それに、そもそもヨーロッパで生活できるだけで、ワクワクするじゃないですか。しかもベルギーだったら、ヨーロッパのいろいろなところに観光に行ける。そういう楽しみもあります。
――チームへの溶け込み方は? 積極的に話しかけるタイプですか?
そこも自然体ですね。気になることがあれば英語で話すし、話しかけられたら英語で返す。チームメートは普段、オランダ語やフランス語だから、彼らにとっても英語は第2外国語なんですよ。だから、聞き取りやすくてちょうどいい。
――日本にいた頃は、「こんな顔をして、英語を話せない」と嘆いていましたが(笑)。
それが、話してみたら、意外としゃべれたんですよね(笑)。だから、コミュニケーションは今のところ問題ないですね。
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【(C)STVV】
前オーナーとの長期にわたる買収交渉、現地ベルギー人スタッフの葛藤、現地日本人スタッフの苦悩、国内日本人スタッフの奮闘、クラブ買収の背景にあるプロジェクトの正体……。買収計画の始動から今夏まで、激動の3年半の舞台裏に迫る。