セ・パで違いが見える応援歌事情 人気ランキング11万票の熱き思いを分析

カネシゲタカシ

パに比べて保守的なセ・リーグの応援

広島・菊池涼介の応援歌のファンファーレは先輩・廣瀬純から譲渡されたものだった 【写真は共同】

 次はセ・リーグについて。まず全体をみて思うのはセの応援スタイルはパにくらべて保守的であるということ。

 これは観客動員の多さから、老若男女が楽しめる最大公約数的な応援歌がチョイスされるからであろう。「ドン、ドン、ドンドンドン」を基調とした伝統的リズムの応援歌がじつに多い(ちなみにパで最多観客動員数のソフトバンクも、トップ10に入った曲はほぼすべて「ドン、ドン、ドンドンドン」だ)。

 そんな中、中日の第1位に2019年からの新曲「チャンス決めてくれ」がランクインしたことに注目したい。疾走感あふれるリズムと「オイ!」の掛け声で畳み掛けるスタイルは、いかにもパ・リーグ的。この曲が早くも大人気なところをみると、セの多くのファンも伝統の殻をやぶった斬新な応援歌に期待しているということだろう。

セ・リーグは「前奏付き」の応援歌が人気

 そんなセ・リーグで人気のスタイルは「前奏付き応援歌」である。代表的なのは東京ヤクルト第1位の山田哲人や、横浜DeNA第1位の筒香嘉智の応援歌だ。「やまーだてつとっ♪」がクセになる山田。ビジターでも「横浜の空高くホームランかっとばせ」と歌われる筒香。どちらも前奏部分の印象が強い。

 また、同じく前奏付きの井端弘和(中日・2位)、矢野謙次(巨人・2位)の応援歌は移籍と引退を経てもなお上位に食い込んだ。さらに高卒2年目、村上宗隆(ヤクルト)の応援歌は、できたてホヤホヤにもかかわらず第2位にランクイン。こちらも前奏付きだ。

 なお菊池涼介(広島・2位)の応援歌の前奏部分は、廣瀬純(広島・5位)が自身の引退にともなって、本人の希望で菊池に譲渡したもの。ファンのみならず選手たちも前奏に強い愛着があるようで嬉しい。きっと「前奏をつけてもらってこそ一人前」といった意識もあるだろう。

応援歌はツッコミどころも魅力のうち

 応援歌の魅力のひとつはファンによる手作り感だが、手作りであるがゆえ、思わぬツッコミどころが見え隠れするときもある。

 たとえば阪神第2位「チャンス襲来」のタイトルをみて「そもそもチャンスって“襲来”するもの?」と疑問に思ったり。襲来するのはピンチだろう(ただ「チャンスわっしょい」という曲もあるので「チャンス襲来」は「チャンステーマ・襲来」を略しただけかもしれない)。

 またDeNA第2位の「チャンステーマ0」。近年は選手名コールの前に「大きな声で」という合いの手が入るのだが、その発祥はスタンドの応援団が歌詞ボードに注釈として書き記した「(大きな声で)」を、ファンがそのまま歌ったことにあるらしい。なんてかわいいエピソードだろう。

 また今回20位圏外ではあったが西武時代の炭谷銀仁朗の応援歌は「ジャングルを追い詰めろ」という謎の歌詞があることで有名だった。ジャングルを追い詰める……わかるようでサッパリわからない。

応援歌は選手とファンをつなぐ絆

「応援歌? とても気に入ってるよ。ヒーローにはテーマソングがつきものだからね」

 一字一句は忘れたが、かつて「MLB最凶のクレージー」と呼ばれたナイジャー・モーガン(元DeNA)はこんなことをインタビューで語った。日本の応援スタイルを気に入り、「ゴー、ゴー、ゴー!」のリズムに合わせ、ホームベースをバットでコツコツしていた打席でのモーガン。応援歌がファンと選手の心を結んでいることを、あらためて教えてくれた。

 どの応援歌にも愛と夢とロマンがつまっている。きょうも歌おう、声高らかに。

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著者プロフィール

1975年生まれの漫画家・コラムニスト。大阪府出身。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にてデビュー。現在は『週刊アサヒ芸能』(徳間書店)等に連載を持つほか、テレビ・ラジオ・トークイベントに出演するなど活動範囲を拡大中。元よしもと芸人。著書・共著は『みんなの あるあるプロ野球』(講談社)、『野球大喜利 ザ・グレート』(徳間書店)、『ベイスたん』(KADOKAWA)など。

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