フライボール革命は日本人にも可能か 長打量産に必要なものは?
体の大きさに着目
研究結果によると、筋量の目安となる除脂肪体重とスイング速度は相関関係にあるとされている。やはり筋量の多い打者はスイング速度が速くなりやすいということだ。
除脂肪体重とバットスイング速度の関係。除脂肪体重が多いとスイング速度は高まる 【Baseball Geeks】
バレルの「最低条件」に注目すると…
だがしかし、誰しもがスタントンのような体になれるわけではない。日本人選手のフライボール革命を考える上で、再度注目してみたいのはバレルの「最低条件」である。
バレルの最低条件として、打球速度は158km/hだった。逆算してみると、必要なスイング速度が約128km/h、スイングを行うために必要な除脂肪体重は約65kgであった。仮に体脂肪率15%だと仮定すると体重約75kgで、日本人選手でも多くの選手がクリアしている数字となる。
つまり、実は多くの日本人選手は、適切な角度で打球を打てれば長打を連発できる可能性を秘めていたのだ。
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日本人選手でも長打を量産できる!
トリプルスリー3度の山田哲人選手。決して大きくはないその体で、ホームランを量産している 【写真は共同】
もちろん打撃は多くの技術要素を含むものであり、簡単に筋量や体重だけで説明はできない。しかし、多くの選手が長打を量産できる可能性を有すというデータを示すだけでも、フライボール革命へ挑戦するに値するのではないか。
例えば、トリプルスリー3度の山田哲人選手(東京ヤクルト)は76kgという体重で長打を連発している。本当は山田選手のように長打を量産する能力を秘めているにもかかわらず、体の大きさを理由に自らの可能性を摘んでしまっている選手がいるかもしれない。データやスポーツ科学の力によって、一人でも多くの選手の可能性が広がることを信じたい。
(文:森本崚太/Baseball Geeks)
引用:
http://m.mlb.com/glossary/statcast/barrel
https://www.fangraphs.com/tht/optimizing-the-swing/
笠原ら(2012): 大学野球選手のバットスイングスピードに影響を及ぼす因子, Strength & Conditioning journal 19(6), 14-18, 2012
城所・矢内(2017):野球における打ち損じた際のインパクトの特徴. バイオメカニクス研究 21(2), 52-64, 2017