人気のparkrunが日本初上陸! 参加して分かった世界を魅了する理由

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 私が初めてその言葉を聞いたのは、数年前に訪れたイギリスでのことでした。現地の友人が“パークラン”とやらについて、「あれは本当にいいイベントだよ」「子どもとほぼ毎週行っているよ」と熱弁し始めたのです。単に“公園で走る”ことかと思ったら、どうも違うらしい・・・・・・。

 正式には「parkrun」と表されるそのイベントは、毎週土曜日の朝に公園など集まり、5キロを走るというもの。ボランティアによって運営されており、参加費は無料。「走る」と言ってもレースではありません。各々のペースで参加でき、ウォーキングもOK。2004年にイギリス・ロンドンで始まったparkrunは現在、世界20カ国、1700カ所以上に広がり、登録者は約500万人と世界的なムーブメントに発展しています。

 その後もparkrunを体験した人たちに出会いましたが、こぞって絶賛するので、いつかは参加したいと思っていました。そんな経緯もあり、parkrunが東京・二子玉川で日本初開催されると聞いた時、私はその瞬間に参加を決めていました。

人、人、人! 国際色豊かな面々が集合!

日本初開催のparkrunに世界各国から参加者が集まりました 【スポーツナビDo】

 記念すべき第1回が行われたのは4月6日。会場は東急田園都市線・二子玉川駅から歩いて10分足らず、多摩川沿いにある二子玉川公園です。7時40分と早めの集合時間にもかかわらず、あたりを見回すと、思い思いのスポーツウエアを身にまとった人、人、人! 雲ひとつない晴天のもとに、海外からの参加者を含む343人が集まりました。日本人の参加者はもちろんのこと、日本在住の外国人や、海外在住ながら偶然日本に滞在していた人たちなど、国際色豊かな面々がそろっています。

あいさつに立つ創立者のポール・シントン=ヒューイットさん(中央)。parkrunアンバサダーでパラリンピック金メダリストのノエル・サッチャーさん(左)も駆けつけました 【スポーツナビDo】

 参加方法はいたってシンプル。まず、事前に公式サイトで登録し、発行されたバーコードを印刷します。当日は、印刷したバーコードを持って集合場所へ行くだけ(ちなみに、バーコードはタイムや参加回数の記録に使われるので、参加する時は必ず持参します)。注意事項などを確認したら、後は走るだけ。8時になったらボランティアの号砲でいっせいにスタートします。

日本で最初のparkrunがスタート! 【スポーツナビDo】

コース案内係のボランティアと笑顔でハイタッチ 【スポーツナビDo】

 コースは多摩川を上流にさかのぼるようにして進み、折り返して二子玉川公園に戻ります。起伏がほとんどなく、一部を除いてコース幅も十分。友達とおしゃべりしながら走ったり、疲れたらちょっと歩いてみたり。中には、小さな子どもをランニング用のベビーカーを押して走るバギーランを楽しむ人も。かくいう私も、前半は友人とおしゃべりしながらのんびり走り、後半は少しペースを上げて気持ちよくゴールすることができました。

リードを短く持てば愛犬の参加もOK 【スポーツナビDo】

 ゴールしたら、フィニッシュトークンと呼ばれる小さなプレートを受け取り、持参したバーコードと一緒にスキャンしてもらいます。これによりタイムや順位、参加回数などのログがオンライン上に保存され、結果はメールでも通知されます。スキャンが終わってトークンを返却したら、この日のparkrunは終了です。

印刷したバーコードは、ラミネートしたりカードケースに入れたりすると持ち運びに便利 【スポーツナビDo】

parkrunとは人々が集まる“コミュニティー”

 走り終わると、そこかしこから聞こえる「楽しかった」「気持ちよかった」の声。最後の参加者がゴールすると、残った人たちからひときわ大きな歓声が上がりました。初対面の人たちばかりのはずが、全員が仲間になったかのような温かな雰囲気です。

「parkrunとは、“走るため”ではなく“人々のため”にあります。人々が交じり合い、交流を深める、そんなイベントなんです」

 そう語るのは、記念すべき日本開催に駆けつけた創立者のポール・シントン=ヒューイットさん。parkrunとはいわゆるランニングクラブとは違い、ランニングをきっかけにして人々が集まる“コミュニティー”だと強調します。

参加者とハイタッチするサッチャーさん(中央)。大の親日家でparkrunの日本開催に尽力してきただけに「夢が実現して本当にうれしい」と喜びもひとしお 【スポーツナビDo】

 そしてもう一人、「記録や走った回数よりも、人と触れ合うことが何よりも大切」と話すのが、parkrunアンバサダーを務めるイギリス人のノエル・サッチャーさん。パラリンピックで計5つの金メダルを獲得したトップランナーで、自身も2011年からparkrunに参加しています。

「私は現役時代から、真面目な練習もたくさんしましたが、チームメートや友達と笑いながら毎日走ってきました。気持ち的にはparkrun(の考え方)と同じです。プロスポーツにも精神的な悩みを抱えている人はたくさんいます。でも、こうやって笑い合いながら運動すると心が落ち着きます。選手としてだけでなくて、人間として成長することができる。そうするとスポーツがだんだん楽しめるようになって、自分の力も出せるようになります。parkrunは皆さんためのものです。ずっと無料ですし、地域作りにもなります。ぜひ気軽に参加してみてください!」

 今後、日本各地での開催が予定されており、運営ボランティアを募集中とのこと(詳細はhttps://www.parkrun.jp/へ)。二子玉川ではこの後も毎週土曜日8時にparkrunが行われます。都内在住の方は、まずは友達を誘って二子玉川に足を運んではいかがでしょうか?

(取材・文:小野寺彩乃/スポーツナビ)
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著者プロフィール

習慣的にスポーツをしている人やスポーツを始めようと思っている20代後半から40代前半のビジネスパーソンをメインターゲットに、スポーツを“気軽に、楽しく、続ける”ためのきっかけづくりとなる、魅力的なコンテンツを提供していきます。

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