Bリーグ、そして世界で活躍する選手へ 「夢」に近づく権利は誰にでもある
初対面のチームメートとのコミュニケーション
選手もコーチも初対面のため、コミュニケーションが重要となる 【(C)B.LEAGUE】
前述の通り、ここでは須田の講演会が好影響をもたらした印象は強い。早めに集合し、コーチの指示に耳を傾け、プレーの組立を確認するなどあちらこちらでハドルが組まれる。いざプレーが始まると、大きな声でチームメートを鼓舞したり、得意なポジションから積極的にシュートを狙ったりと、短い時間でも精いっぱい持ち味をアピールする選手たち。40名の次は20名に、最終的には10名が選抜されてスクリメージが行われ、2日間のプログラムが終了した。
現在の自分が目指す、未来の自分
2年連続で参加した新潟医療福祉大の佐藤誠人は、クラブ関係者の注目の的だった 【(C)B.LEAGUE】
大きな声でチームを支える熱血プレーが印象的だった平良彰吾(拓殖大)は父親が実業団の名門・住友金属に所属し、兄も同じくバスケ選手。「ボイスは持ち味なので、少しはアピールできたと思います。あとはシュートをもう少し正確に決めたかったです」と笑顔で会場を後にした。
2年連続で参加の佐藤誠人(新潟医療福祉大)はクラブ関係者の注目の的。「今回も最後(10名)まで残ることができ、レベルの高いチームでプレーできたのが良かったです。前回の自分の経験を伝え、今回は大学のチームメートが参加することになりました」。これは、B.DREAM PROJECTの成果が着実に広がっている証。例えば、サンロッカーズ渋谷はU15のメンバーに参加を呼び掛け、2名の選手が参加している。「Bリーグのクラブでエントリーしているのはわれわれだけかもしれません。(学校など)難しい面はありますが、こういう機会に多くの経験をしてほしいと思っています」と語るのは松岡亮太ユースマネージャー。
また選手にとどまらず、コーチ陣もプロコーチ志望の7名が参加。その1人、市村朋也はC級ライセンス保持者でB.DREAMは皆勤賞。今回もオリジナルのマニュアルを持参し、「急造チームなので、オフェンスのエントリーなどを共有できればと思って用意したものです。それがうまくいかなければ、そこからは選手に委ねるしかありません。最初にキャプテン、副キャプテンを決め、選手の役割を明確にするよう努めています」と、さらなるステップアップを目指した。
他にも現役教師が参加したが、部活で指導する傍ら「プロコーチとしてコートに立つ自分の姿」を追い求めているようだ。「(Bリーグクラブのスクールコーチなど)もしオファーがあったとしても、すぐに決断できるかどうか分かりません。ただ、この経験によりコーチとしてのスキルを磨くことができます。指導の幅を広げられればといいなと思っています」。
決まった進路、現在の立場があったとしても、その先へ進んでいきたいという思いに応えるのがB.DREAM PROJECTの果たすべき役割なのだ。
プロへ……ライバルは世界だ!
「ライバルは日本ではなく、世界のプロ選手」と葦原事務局長は参加者たちに語りかけていた 【(C)B.LEAGUE】
「ライバルは誰か……ここにいる一人ひとりがそうかもしれません。が、Bリーグは『世界に通用する選手やチームの輩出』を使命のひとつに掲げていますから、ライバルは日本ではなく、世界のプロ選手です。そして、最高峰の選手たちが口にしているのは“努力”することの大切さです。日々の小さな積み重ねができるかどうかが重要で、普通のプロ選手で終わるのか、最高峰の選手を目指すのか……明日から、一つひとつ小さなことから努力してほしいと思います。それはBリーグも同じです。一緒に頑張っていきましょう」
今回「B.DREAM PROJECT 2019」に参加したのは約100名の選手・コーチだけではない。2日目のスクリメージの際には、B1からB3のクラブ関係者が多数来場し、プレーする選手たちを注視した。この中からBリーグでプレーする選手が現れるかどうかはわからない。しかし、それぞれの夢がつながり、人がつながっていけば、B.DREAM PROJECTから飛び立って、世界で活躍する選手が生まれるだろう。小さな努力を積み重ねていくことで、きっと大きな花を咲かせるに違いない。