アジアカップで「本当のチームになる」 酒井宏樹が語る、2018年と近未来

宇都宮徹壱

日本が強くなるためにも選手層の厚さは必要

若い選手の台頭が顕著な現状に、「代表から弾かれることになったとしても、それが勝負の世界」と語る 【宇都宮徹壱】

──森保体制になって、若い選手の台頭が顕著ですが、ご自身ではどう見ていらっしゃいますか?

 いいことだと思いますよ。自分のポジションが脅かされて、代表から弾かれることになったとしても、それが勝負の世界ですから。ブラジル代表を見ても、「あんなにすごい選手が呼ばれなくなるんだ」というのがあるじゃないですか。そういう状況があるからこそ、W杯で結果が残せるんだと思うし、日本が強くなるためにも選手層の厚さは必要だと思います。ただし、自分が本当にそういう立場になってしまったら、複雑な思いにはなるかもしれないですね(苦笑)。

──同じ右SBのポジションでは、室屋成選手(FC東京)がいます。彼についてはいかがでしょうか?

 ポジションは同じですけれど、僕とはタイプが違いますね。彼はピッチ上で味方に勢いを与えるプレーができますし、押し込んでいる状況であれば、相手をパニックに陥らせることができる選手だと思います。

──室屋選手と酒井選手の共通点をもうひとつ挙げるなら、共にアジアカップが初出場ということです。酒井選手は、W杯に2大会経験しているので意外な感じもしますけれど、初のアジアカップにはどんな思いを抱いていますか?

 出るからには、やっぱり優勝したいですよね。それと大会を通して、今の日本代表が「本当のチーム」になっていくことが楽しみですし、そうなっていかないといけない。それが問われるのが、今回のアジアカップだと思っています。

──前回がベスト8に終わりましたから、日本にとってはリベンジの機会でもあるわけです。プレッシャーは感じていますか?

 そういうプレッシャーの中で戦えるのは、選手として幸せなことだと思います。また、新しく入ってきた選手にとっても、そういう環境での経験は大きな意味を持つわけですし。いずれにしても、プレッシャーにさらされる中でも、日本の強さというものをしっかり見せられるようなプレーをしたいと思います。

──代表での背番号と同じ19年は、酒井選手ご自身にとって20代ラストイヤーになります。どんな1年にしたいですか?

 自分自身、大きな変化はないですね。今までどおりやるだけです。でも、もう(ヨーロッパでは)7シーズン目なんですよね。正直、ここまでやれるとは思っていなかったですし、そういう気持ちをしっかり持つことが大事だと思います。慢心せず、1試合1試合を大切にプレーできればと思います。

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著者プロフィール

1966年生まれ。東京出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。旅先でのフットボールと酒をこよなく愛する。著書に『ディナモ・フットボール』(みすず書房)、『股旅フットボール』(東邦出版)など。『フットボールの犬 欧羅巴1999−2009』(同)は第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。近著に『蹴日本紀行 47都道府県フットボールのある風景』(エクスナレッジ)

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