青学大が情報戦でも先手、対抗は東海大か 箱根駅伝・展望を駒大OB神屋氏に聞く
明治大は補欠登録のエース・阿部次第
予選会1位の駒澤大は先ほども申したように片西選手が1区で出るかと思いますが、1〜4区は予選会もしくはその後の記録会で1万メートルの記録が良かった選手が並びました。5区の大坪(桂一郎)選手が補欠の伊東(颯汰)選手に代わるかそのままいくかでかなり変わるかと思います。もしそのままだと、伊東選手が余るので、彼をどこに置くのか。もし7区に伊勢(翔吾)選手を使ったら伊東選手はどこに置くのか……。そうしたところは、予選会が良かっただけに少し悩むところかなと思います。
それから、今回の発表で一番驚いたのは明治大の阿部(弘輝)選手です。「どこにいくのかな?」と。2区で登録された中島(大就)選手は外さないと思うんです。入れるとしたら9区ですかね……。後ろから一気に追い上げてズバッと抜く、“復路の明治”を目指すのでしょうか。伝統的に明治大は前半型オーダーのイメージなので、阿部選手も当然2区か、悪くても1区か3区だと思っていたのですが、これだと2区ではないのでしょうね。中島選手が外れるとなると、今度は明治大の調子が良くないということになってしまいます。
逆に9区に阿部選手、10区に坂口(裕之)選手となるとかなり強力なので、バランスは取れます。その辺は山本佑樹監督の心理戦なのかなと思います。このあたりがどうなるかによっては、明治大はかなり面白いチーム、9、10区まで飽きさせないオーダーになるかもしれませんね。
エントリー選手の中で1万メートル最速のタイムを持つ明治大の阿部弘輝は補欠登録。果たしてどの区間で起用されるか。 【写真:築田純/アフロスポーツ】
今回は(前半で)流れをつかみたいのか、総合的に勝負をしていくのかという選択肢でふたつ分かれたと思います。前半に(戦力を)つぎ込んでなんとしてでも往路を乗り切って復路は耐える、と考えるか、バランスよく組むか。ただ、明治大がはっきりしないんですよね。阿部選手次第でかなりバランスが崩れてしまうので。
“打倒青学”には往路から仕掛けを
前半につぎ込むということは、シード権を意識することになります。後半に巻き返すのは今は大変だと思うんです。戦力的にそんなに(各チームとも)変わらないと思いますし、往路の流れが悪いと復路から上げていくのは大変です。そういった意味ではある程度往路でどうにかしたい。そういったところがシードを狙うために前半につぎ込んでくるのかなと。状態が悪いと言われている大学は、このオーダーを見て打ち手を考えるのかなと思います。ハッキリ言って流れをつかめないとシードは厳しいと思います、特に今回は。
――最後にズバリ優勝予想をお願いします。
青山学院大の5連覇はかなり濃厚なのではと思います。後はその他のみんなで崩せるかどうか。包囲網を組んで往路で荒らして、青山学院大を慌てさせることができるかどうか。6区の小野田選手に「かなり後方からスタートしてください」と言えるかどうかですね。各校とも積極的に青山学院大を倒すつもりで往路から勝負を仕掛けて、往路だけでも青山学院大に笑えない状態にできるかどうか。それで初めて青山学院大を倒せる可能性があります。みんなで寄ってかかって倒すという意味で言えば、王者・青山学院大は盤石で、相当強いチームだなと思います。