noteでクラブの情報を効率的に発信する 「IT活用でJクラブは変わる」第5回
執筆を担当しているのはこの2人。ともに20代前半の学生 【提供:江藤美帆】
まず、コンテンツの主役はあくまで「ファン・サポーターの投稿」になるため、高度な文章力が要りません。これは、資金や人材の足りていない市民クラブにとっては極めて重要なことです。実際、週刊栃木SCは学生インターンが制作を担当していますが、何の問題もなくできています。
もう1つは、クラブに関するニッチな情報が拾えることです。たとえば、栃木SCには、いわゆる「トップチーム」と呼ばれるJリーグ所属のチーム以外にも、ユース、ジュニアユース、ジュニア、レディースといった下部組織があります。これらの組織もトップチーム同様、週末に試合を行うことが多いのですが、うちは予算の関係で広報が1名しかいないため、すべての試合を観に行ってレポートすることができません。このため、下部組織の情報がどうしても手薄になってしまうという課題がありました。
しかし、「週刊栃木SC」のようなキュレーションメディアであれば、ツイッターやインスタグラムなどにあがっているサポーターや保護者の方の投稿を拾うことができます。実際にやってみて分かったのですが、下部組織についてはそちらのほうが正確で、情報も速いのです。
下部組織の情報発信も本来はわれわれ運営側がやらないといけないことだとは思うのですが、ファン・サポーター、保護者の方の投稿は熱量も高く、素敵な写真も多いので、当面の間はこちらを活用させていただきたいと考えています。
【提供:江藤美帆】
下部組織のファンの方の投稿は、熱量が高く良い写真が多いのが特徴 【提供:江藤美帆】
そして、最後に感じたメリットは、ファン・サポーターを自然な形で「顧客」から「当事者」にできるということです。もともとサッカーには、サポーター文化というものがあり、サポーターもクラブを構成する重要なメンバーだとみなされています。しかし、実際にはクラブを応援したいという気持ちがある人が全員、毎試合来られるわけでも、ゴール裏に行けるわけでもありません。各自に生活があり、限られたお金、時間の中でクラブを支援してくださっているのが実情だと思います。
しかし、SNSで発信するくらいであれば、必ずしもそれらのリソースは必要ありません。誰もが当事者となってクラブを支えることができます。
私がサッカーというスポーツが好きなのは、サッカーが単なるスポーツエンタメビジネスではなく、ファン・サポーターや地域住民が一体となってチームを支え、強くしていくことができるからです。「みんなで作るマガジン」は、まさにそんなわれわれのような“市民クラブ”の理念を体現したものなのではないかと感じています。