来季のトロロッソに感じるポテンシャル 苦戦の1年で得た大きな資産

F1速報

今季のトラブルとリカバリー

最終戦アブダビGPはパワーユニット(スペック3)を搭載して臨むも、決勝はPUトラブルでリタイア 【XPB Images】

 18年のトロロッソ・ホンダは、シンガポールなど得意と思っていたサーキットで振るわず、スパやモンツァ、メキシコなど予想外のところで速いということも多々あった。

 これはコーナリング中の風向き変化に弱いトロロッソ・ホンダSTR13の空力特性にも原因があった。左右に切り返すようなコーナーではその途中でダウンフォース発生量が過敏に変化してしまい、ドライバーが攻めて走ることができない。しかし鈴鹿のS字で快走を見せたように、車体の前傾姿勢を含めたメカニカルセットアップを見直すことでその問題は解決をみた。

 パワーユニットはカナダGP、ロシアGPでアップデートが投入され、開幕戦で使用したスペック1も含めていずれも投入初期は細かなトラブルがいくつか発生している。そのしわ寄せが終盤戦のペナルティとなって表われ、実力を結果に結びつけられない要因になった。

 最終的に2台とも年間8基を使用したが、致命的なトラブルはICEが2回(日本、アブダビ)、MGU-Hが2回(オーストラリア、カナダ)。それ以外はクラッシュやストック作りのための新品投入で、昨年までのようにトラブルが多発したわけではない。

 スペック3は19年シーズンに向けた実戦テストであったため耐久性は十分ではなかったが、それを除けば18年のホンダ製パワーユニットに発生した大きなトラブルは2度のMGU-Hトラブルだけだった。パワーでもルノーに追い付くところまで来たが、実質的な信頼性の向上は大きな前進だったと言える。

 車体面ではシーズン序盤戦から空力開発のペースがやや遅れがちで、第9戦オーストリアGPにようやく持ち込まれたフロントウイングなどの空力アップデートは期待通りの効果を示さなかった。そのためこれに続いて予定していた開発計画を全て見直すこととなり、それと前後してテクニカルディレクターのジェームス・キーが離脱したこともあって、シーズン中盤戦のSTR13の開発は停滞してしまった。

 それでも風洞およびCFD(コンピューター流体解析システム)と実走のコラレーション(相関)を取り直し、アメリカGPとメキシコGPに投入した新型空力パーツは想定通りの効果を発揮。チームとしての開発方向性を取り戻すことができたのは好材料だ。

結果ほどは悪くなかった18年シーズン

2019年はレッドブル・ホンダでタッグを組むマックス・フェルスタッペンとピエール・ガスリー 【Sutton Images】

 結果だけを見れば、極めて厳しいシーズンだった。

 しかし内容に目を向ければトロロッソ・ホンダの18年は決して悪くはない。マシンの実力を結果に結びつけられなかった理由、自分たちのチームとしての十分でなかったところを見つめ直すことで、トロロッソ・ホンダはさらに強くなれるポテンシャルが見えた。

 ホンダとしても、しっかりとそれをやることによってレッドブル・ホンダとして戦う19年へと繋がる。それはレッドブルからの技術供与を受けるトロロッソにとっても大きな資産になる。

 トロロッソ・ホンダとして戦った18年は、新たな時代への土台固めだ。結果には繋がらなくとも、それは果たされた。あとは19年に高く羽ばたくだけだ。

(Mineoki Yoneya)

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