トロロッソ、悔しさ残る日本GP 失敗と大きな声援を胸に終盤戦へ

F1速報

フリー2回目からほころび

ガスリー(写真右)が燃料タンクのトラブルにより、フリー走行2回目で75分を失ったことで、事態は少しずつほころびを見せた 【Toro Rosso】

 しかしピエール・ガスリーが燃料タンクのトラブルにより、金曜フリー走行2回目で75分を失ったことで、事態は少しずつほころびを見せつつあった。

 金曜夜にパワーユニットのセッティングにさらに変更を加えたところ、土曜になってオシレーション(エンジン回転数の収束がスムーズでない状態)やそれに伴うパワーロスの症状が再発。その対策が充分にできないまま予選を迎えてしまった。信頼性確保を理由に予選後の変更を申請するも、条件付きで一度は認められたものが決勝直前の走行で「条件通りになっていない」と判明し却下されてしまうという事態にも直面した。

「クルマ自体にはとても満足だよ。でもフリー走行でエンジンに問題があったからブレンドンほどアグレッシブなセットアップで走ることができなかったんだ。アップシフト時にオシレーションがあって、かなりパワーが低い状態だったんだ。逆に言えば、それができればさらにパフォーマンスを向上させることができるとも言えるけどね。ドライバビリティもまだ改善の余地があるよ。それで0.2〜0.3秒稼げていれば、(ロマン・)グロージャンを超えて5番手を取ることもできたと思う」

 予選後にガスリーがそう語っていたのは、正確に言えばエンジンパワーが常に抑えられているわけではなく、オシレーションが発生するとハードウェアへのダメージを防ぐために自動的に瞬間的に出力を抑えるようなプログラムのことだ。予選アタック中に何度かそれが起き、ドライバーとしてはそう感じたということだ。

第2スティントにソフトを履いた結果…

 フリー走行2回目のタイムロスが及ぼした影響はそれだけではなかった。

 ミディアムタイヤでロングランができなかったことで、ソフトタイヤのデータだけを頼りに決勝に臨まなければならなかった。路面温度が10度も高いコンディションで、トロロッソ・ホンダは「ミディアムの方がタイヤの摩耗が少ない分だけトレッドのゲージが分厚いままで内部に熱がこもりやすく、ソフトよりもブリスターが起きやすいだろう」(エドルス)という理由で第2スティントにソフトを履くことにした。

 第2スティントはソフトだから早めにピットインするのは避けたい。序盤にセーフティカーが入ったため中団グループ後方とのギャップはそれほど広がっておらず、彼らの前で戻れるだけのギャップができるまではステイアウトしたい。だからどうしてもピットストップは後ろへとズラされていった。

 フォース・インディア勢はトラフィックの中に飛び込んでもコース上で抜けるという自信があったから、ガスリーに対してアンダーカットを仕掛けていった。しかしトロロッソ・ホンダはこれまでの非力で抜けないイメージにとらわれて動けなかった。

 先にピットインしたセルジオ・ペレスに対して反応すれば、エステバン・オコンがステイアウトしてオーバーカットしてくるという懸念もあった。そうこうしているうちにスーパーソフトのペースは落ち、フォース・インディア勢の2台ともに抜かれてしまったのだ。ブレンドン・ハートレーがスタートで出遅れて1対2の戦いを強いられた時点で、負けはほぼ決まっていたのだ。

日本のファンの声援をパワーに

鈴鹿には多くのトロロッソファンが応援に訪れた。レースでは必ずしもいい結果とはならなかったが、失敗を生かすべく終盤戦の走りに期待したい 【Toro Rosso】

 そしてスタートも戦略も完璧に決めていたとしても、第2スティントのソフトタイヤに盛大なブリスターが発生し「ストレートで前が見えないほどのバイブレーション」(ガスリー)にまで至ってしまった時点で、トロロッソ・ホンダ勢の入賞は難しかった。結局はソフトタイヤのタイヤマネージメントも、ミディアムタイヤのブリスター予測もできていなかった。

 STR13の速さはしっかりと磨かれた。しかし重要なフリー走行2回目の大半を失ったことから、レースは崩れ始めていたのだ。

「今のF1はクリーンな週末にすることが重要なのに、こんなふうにどこかでディレイが発生したことで次々に影響して予選、決勝にも響いてしまったんだ。今週は本当に特別なグランプリだった。大勢のファンの人たちが声援を送って応援してくれて、セバスチャン・ベッテルよりも多くの歓声を浴びるんだからね、普段じゃあり得ないよ!

 グリッド上でも大勢の人がトロロッソ・ホンダのシャツやキャップを身に着けて応援してくれているのが見えて、特別な気分だった。多くの応援をもらって、みんなのためにここでいい結果を出したかったんだ。もっといい仕事ができていれば、もっといい結果が出せたはずだ。だから全てをうまくまとめ上げることができなかった今はすごくガッカリしているよ」(ガスリー)

 大きな声援をもらい、マシンに速さがあっただけに、悔しさはひとしおだった。これをバネに、しっかりと失敗から学び、次につなげなければならない。それこそが日本のファンへの最大限の恩返しになるはずだ。

(テキスト:Mineoki Yoneya)

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