個性豊かな「ガード4人衆」で魅せる HCに聞く、○○はうちがNo.1 琉球編

鈴木栄一

リーグ随一の多彩かつ個性豊かなガード陣

「スピードのあるバスケットをけん引するガードのバリエーションの豊富さ」が琉球の強みだ 【(C)B.LEAGUE】

 琉球ゴールデンキングスは昨季、前年から大きく成績を向上させ、B1西地区優勝、チャンピオンシップでもセミファイナル進出を果たした。さらに今オフは、橋本竜馬(シーホース三河)、並里成(滋賀レイクスターズ)、ジョシュ・スコット(島根スサノオマジック)、ジェフ・エアーズ(エスキシェヒル・バスケット/元アルバルク東京)と、すでにリーグで確固たる実績を残した計算できる即戦力が加入。さらなる戦力底上げに成功した優勝候補の一角を率いるのが、佐々宜央となる。

 これまで日立サンロッカーズ(現・サンロッカーズ渋谷)、栃木ブレックス、日本代表などでアシスタントコーチを歴任。昨季、キャリアでは初のヘッドコーチ挑戦でありながら、リーグ1の鉄壁ディフェンスを作り上げた34歳の若き指揮官は、続投となったことでさらに頂点への思いが高まった。

「去年はみんなに、どんな奴かと見定められていたシーズンと感じていました。今年、そういったものとは違うプレッシャーはあります。ただ、このバスケが盛んな沖縄で2年目のコーチをやらせてもらえるのはうれしいですね。去年以上の成績ということで、今年はファイナル進出、優勝しか目指すところはないです。そして、沖縄の皆さんに優勝を捧げたい。その気持ちが昨年の1シーズンを経てより強くなっています」

 そして、ここは他のチームに負けないと自信を持っていることを聞くと、「ファンが一番です」と、常に満員のホームゲームで熱狂的な応援を送り続けるファンの存在を真っ先に挙げる。さらにバスケットボールに関しては、「どう見てもガード陣が一番でいいと思います。今年のサイズは小さいですが、スピードのあるバスケットをけん引するガードのバリエーションの豊富さが売りだと思います」とコメントした。オフに獲得した即戦力、実績十分の司令塔である橋本、並里の2人に加え、残留組の岸本隆一、石崎巧を合わせたカルテットに大きな手応えを得ている。

オフェンス力の増強でリーグ制覇を狙う

 実際、佐々HCが述べるように3ポイントシュートラインの数メートル後ろでも難なくシュートを沈める岸本、圧倒的なスピードで相手守備を切り崩す並里、激しい守備と手堅いゲームコントロールの橋本、そこに巧みなステップワークで相手をかわす石崎と、それぞれ明確な個性を持つ4人は、相手にとって対策が難しい。一方で、岸本、並里、橋本はみんな小さく、彼らを同時に起用することはサイズ不足を招く。しかし、そのデメリットを上回るスピード、技術を持ったチームになれると、指揮官は信じている。

 そしてサイズは小さいが、「去年は外でパスを回しているシーンが多かったですが、今年は中に割っていける。並里が代表的な例であり、さらにリングに近い位置でバスケをできるようにジョシュ・スコットを獲得しました」と、よりインサイドからアタックができる陣容になったと続ける。

「オフェンスはクリエイターであり、起点となれる選手(並里、スコット、エアーズ)が増えました。ただ、ディフェンスの強度をいかに落とさずに戦えるのか」。このように佐々は、攻撃力強化に自信を見せる。

もちろん守備も「昨季と同じ強度を保っていきたい」

 それだけに、昨季リーグ屈指の堅守を誇ったディフェンス力を、どれだけ維持できるかが今季の大きなカギとなってくる。

「サイズが小さくなったデメリットはディフェンス面。昨季はそこを第一に強調していましたし、今年もしっかりやっていかないといけません。ただ、今年はゾーンとかごまかしも増える。そして、リバウンドがカギとなる。オフェンスの良さを出しながら戦略、戦術、激しい気持ちでルーズボールなどを取り、昨季と同じ強度を保っていきたいです」

 前年に続く大型補強に成功したことで、今季の琉球は優勝候補の一角に食い込めるポテンシャルを持ったチームになった。あくまでもプレシーズンではあるが、アイラ・ブラウン、エアーズとビッグマン2人を欠きながらもアーリーカップ関西で優勝と、幸先のいいスタートも切った。

「攻守のバランスをしっかり取れるかは、コーチとしてのチャレンジとなります」と佐々。彼がチームバランスの最適解を見いだすことができれば、昨季以上の成績=ファイナル進出からのBリーグ制覇への道が開けてくるはずだ。

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著者プロフィール

1977年、山梨県生まれ。アメリカ・オレゴン大学ジャーナリズム学部在学中に「NBA新世紀」(ベースボールマガジン社)でライター活動を開始し、現在に到る。毎年、秋から冬にかけて母校オレゴン・ダックスの成績に一喜一憂している。

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