「練習の質」を武器に、走り続けて優勝へ HCに聞く、○○はうちがNo.1 広島編
新生ドラゴンフライズは「60試合走り続ける」
今季から加入した岡本飛竜を中心に、トランジションで走り勝つバスケットを目指す 【(C)B.LEAGUE】
今シーズンは広島出身で、横浜ビー・コルセアーズのHCも務めた尺野将太氏が新HCに就任。再スタートの機が熟した印象を受ける。
尺野HCに「ウチのナンバーワン」を尋ねると「練習からハードにやり合うというところ」という答えが返ってきた。彼はこう口にする。
「昨シーズンB1でやっていた選手が多く、B1レベルの質の高い練習ができる」
昨シーズンの広島は鵤誠司(現栃木ブレックス)の移籍もあり、司令塔不在に悩まされた。しかし今季はポイントガード(PG)に岡本飛竜(前島根スサノオマジック)、山田謙治(前横浜ビー・コルセアーズ)を補強し、指揮官の目指すスタイルにフィットする人材をダブルで得た。
尺野HCは新生ドラゴンフライズが目指すスタイルをこう述べる。
「まずはトランジションでしっかり走れるチームにしたい。『ディフェンスで頑張って走る』というようなことはどこも言うと思うけれど、それを本当に60試合続けてやっていきたい」
積極的に相手ボールへプレッシャーをかけ、試合のテンポを上げるバスケを目指せば、選手の消耗は大きくなる。そこで大切になるのはスタイルに合った人材をしっかり選び、誰がコートに立っても質が落ちないグループを作ることだ。尺野HCはそこについても、こう太鼓判を押す。
「ウチはメンバーが交代しても力があまり落ちないし、誰が出ても持ち味を生かしながら戦っていける。アップテンポでアグレッシブなバスケを、全員でできると思います。選手は10分間プレーし続けるなんてことができないような勢いでやってほしい」
目標は昇格ではなく「リーグ優勝」
「ベテラン2人の調子が一番いいくらい。オフシーズンからしっかりトレーニングされてきている。年齢関係なくチームの中で一番活躍が期待できる」
PGの2人以外にも大きな補強があった。小澤智将は大卒2年目と若く、ハードな守備を売りにするシューティングガードだが、川崎ブレイブサンダースではほとんどプレータイムを得られなかった。尺野HCに小澤のことを尋ねると想定外の評価が返ってきた。
「何と言っていいか分からないんですけれど、ちょっと独特のリズムで……。ひょいひょいとうまくすり抜ける選手です。ドライブは独特のタイミングでフィニッシュまでいけるので、オフェンスも期待できる」
今季のBリーグは帰化選手がオン・ザ・コート数の制限を受けずにプレーできるようになったため、帰化選手を活用できれば大きなアドバンテージになる。新加入の坂本ジェイは206センチ・105キロのインサイドプレーヤー。セネガル生まれだが延岡学園高、浜松大出身で、2013年に日本国籍を取得している。腰の負傷のため直近の2シーズンをほぼ棒に振ったが、今季のプレシーズンはチームの練習メニューを問題なく消化中だ。9月上旬のアーリーカップは2試合とも20分弱のプレータイムをこなしており、コンディションは問題ない。
尺野HCの掲げる目標は「昇格」でなく「リーグ優勝」だ。新加入選手の顔ぶれを見れば、それを狙えるだけの選手層が確保されている。指揮官が質の高い練習を誇るのも、それだけハイレベルな人材が切磋琢磨(せっさたくま)しているからだ。