誇れるのは選手のバスケ熱と支える環境 HCに聞く、○○はうちがNo.1 大阪編

カワサキマサシ

外国籍選手はBリーグ1年目と同じに

大阪は昨季まで2季に渡ってアシスタントコーチを務めていた穂坂氏がHCに昇格した 【(C)B.LEAGUE】

 昨季はチャンピオンシップ(CS)出場を目標に掲げてスタートを切った大阪エヴェッサだったが、中核と構想していた外国籍選手に相次いで故障が発生するなど、誤算が続いた。レギュラーシーズンに入っても浮上のきっかけをつかめず、残留プレーオフを回避するのが精一杯の結果に終わってしまった。来る2018−19シーズンは、昨季まで2季に渡ってアシスタントコーチを務めていた穂坂健祐がヘッドコーチ(HC)に昇格し、巻き返しを図る。

「昨季は開幕前からうまく波に乗れず、シーズン中もチームのコンセプトや決まりごとがブレてしまい、シーズンを通じて不安定な戦いになってしまったことは否めません。反省すべき点が多いシーズンでしたが、その中でも収穫と言えるのは、若い選手が成長を見せたこと。昨季に新加入した熊谷尚也と藤高宗一郎()は、共に以前にいたチームではベンチプレーヤーでした。しかし昨季は、チームの中心的な存在になってプレータイムを大きく伸ばしました。彼らの成長で、日本人選手のサイズが大きくなったのはプラスの要素です」

 今季のロスターに、新たに加わったのは4人。bjリーグ時代の2014−15シーズン以来の復帰を果たした畠山俊樹に、帰化選手であるファイ・パプ月瑠、ルーキーの長野誠史。そして最大のトピックスは、Bリーグ1年目の2016−17シーズンに新加入し、初代ブロック王に輝いたジョシュ・ハレルソンのカムバックだろう。

「ジョシュに、昨季途中に復帰して今季もチームに残ってくれたエックス(エグゼビア・ギブソン)と、外国籍選手のラインナップは2年前と同じになりました。あのときは彼らが活躍してCSまであと一歩と迫りましたが、Bリーグはどのチームもレベルアップするスピードがとても速い。いくら彼らが戻ってきたとはいえ、僕らが2年前と同じレベルでは勝てません。チームのレベルを上げるためには、昨季に目立った無駄なターンオーバーを減らさないといけない。いい形で攻撃を終えて、いいリズムで守備に入れば、それが減らせるはず。個にばかり頼らずに、全員で守って全員で攻めることを徹底していきます」

「高」の正式な漢字は「はしごだか」

「リーグを代表するタフなチームになる」

 若さゆえの情熱を隠そうともせず、来るシーズンへの決意を語る33歳の指揮官に、続いて今回の企画の肝である質問「大阪エヴェッサがリーグでNo.1だと誇れるのは、どんなことですか?」を投げてみた。新人HCはそれまでとは違う表情で「うーん……」と考えを巡らせながら、答えをこう絞り出した。

「HC1年目ですし、開幕前で他のチームと比較できないので難しいところですが、どの選手も本当にバスケットボールが好きなところですかね。ただ好きなだけではなくて、もっとうまくなろうとする向上心もすごくある。朝から練習場に来て個人トレーニングをして、全体練習が終わってからも居残って練習している選手たちも多くいます。それができるのも、ホームアリーナと同じ施設内に練習場があって、そこでウェイトトレーニングもできるからこそ。こうした環境の良さも、誇れるところだと思います」

 チームは主なメンバーが残り、昨季の屈辱を晴らすべく今季に挑む。

「昨季を経験したメンバーは、やってきたことが通用しなかったことに危機感を感じていると思います。それを養分にして、成長していかないといけない。CSを目指すに値するのは、タフなチーム。今季の大阪は、リーグを代表するタフなチームになることにこだわります。ゲームではひとつのディフェンス、ひとつのオフェンスを大事にすることを意識して、相手より強い思いで戦う。そうして今度こそ、CSに進む。それが今季に目指すものです」

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著者プロフィール

大阪府大阪市出身。1990年代から関西で出版社の編集部員と並行してフリーライターとして活動し、現在に至る。現在は関西のスポーツを中心に、取材・執筆活動を行う。

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