昨季の苦難で得た「諦めない気持ち」 HCに聞く、○○はうちがNo.1 島根編
昨季の苦難で得た「諦めない気持ち」
島根の鈴木HCは、昨季の苦難で得た「諦めない気持ち」をNo.1だと挙げた 【(C)B.LEAGUE】
そんな苦難を経験したチームにとって、リーグNo.1だと誇れるものは何か。昨季に続いて指揮を執る鈴木裕紀ヘッドコーチ(HC)は「諦めない気持ち」だと強調する。
昨季の島根は最下位を争ったシーズン終盤に、チーム力が向上した。連敗が伸び、攻守の要だった外国籍選手のけがによる戦線離脱に見舞われたが、逆境に立たされてもくじけることなく、日本人選手を中心にチームディフェンスを向上させた。
練習の成果は試合に現れるようになり、中地区覇者のシーホース三河に競り合い、西宮ストークス、滋賀レイクスターズ、横浜ビー・コルセアーズに3連勝をあげた。残留プレーオフ1回戦ではアウェーで富山グラウジーズに先勝した。「どんなに苦しい状況に陥っても、僕たちはカムバックできた」(鈴木HC)。だれ一人として下を向かず、勝つために必要なことを取り組んで成果を残したことは、B1返り咲きを目指す今季のチームにとって大きな財産だ。
目標は攻守でB1レベルに
基盤となるディフェンスでは球際のインテンシティー(強度)を強くする。B1だった昨季もコーナーやペイントエリアでの厳しいダブルチームで強豪チームのリズムを乱した。だが、体格差やシュート力のある相手にはタフショットを決められてしまった。鈴木HCは、堅固なディフェンスを武器に昨季のチャンピオンシップに出場した栃木ブレックス、千葉ジェッツ、琉球ゴールデンキングスなどを例に挙げ、「激しいコンタクト・ディナイで、シュートエリアで簡単にボールを持たせないディフェンスを目指す」と意気込む。
特に、栃木の「試合を通じて崩れないディフェンス」が目指すべき姿だ。今年2月18日にブレックスアリーナ宇都宮で行われた栃木戦では、シューターがしつように体を当てるディナイでパスコースを遮断され、スリーポイントシュートライン付近でボールをもらえず。ペイントエリア内にもボールがなかなか回らず、シュートチャンスが限られ45−78で完敗した。この敗戦を教訓にし、今季の開幕前は40分間ディフェンスの強度が落ちないよう、ダッシュやシャトルランなど体力づくりに一層の力を入れている。
昨季B1ワーストの攻撃力アップが鍵
円滑にボールを回すために必要なのが「ペイントタッチ」。ボールハンドラーがドライブでペイントエリア内に切り込むプレーだ。ディフェンスを引きつけてスペースを生み出すことで、昨季3ポイントシュート成功率がB1で4位の39.3%だった佐藤公威らアウトサイドシュートが得意な選手に円滑にボールを回すことができる。昨季のチーム1試合平均得点でB1ワーストだった70.9点の攻撃をどこまで改善できるのかにも注目だ。
アーリーカップ2018西日本では外国籍選手の合流遅れやけがなど万全の状態で臨めず、ホストチームながら6チーム中最下位に終わった。レギュラーシーズン前哨戦であり、ほとんどの時間帯を日本人のみで戦ったため参考にはならないが、結果だけ見れば屈辱だった。鈴木HCは、「負けが続いた昨季はブースターを喜ばせることができなかった」「今季は勝ち続けて、ブースターのみなさんと喜びながら試合後のハイタッチをしたい」と誓う。開幕前の悔しさを力に変え、けが人など苦しい状況にも前を向く気持ちを持って、B1復帰への歩みを進める。