ディフェンスで「一番」と言われるように HCに聞く、○○はうちがNo.1 東京Z編

吉川哲彦

いいディフェンスにつながる「3つ」の要素

昨シーズンの“日本人選手を起点としたオフェンス”は通用せず。今季はディフェンス面の強化を考えていると古田HCは話す 【(C)B.LEAGUE】

 昨シーズンは“日本人選手を起点としたオフェンス”という他チームにないスタイルで臨んだものの、B2中地区で最下位に沈む結果となったアースフレンズ東京Z。その成績を考えると自信を持ってNo.1と誇れるものを挙げるのは容易ではなく、古田悟ヘッドコーチ(HC)も「No.1か……難しいなぁ」と、しばし押し黙ってしまった。

 数秒の沈黙の後に、古田HCから出てきた言葉は「ディフェンスはリーグの中でもNo.1になりたいと思ってやっています」というものだった。

「フィジカル面とハードワーク、メンタルタフネス。コート上でやらなければならないこの3つを、このオフは選手たちに取り組ませてきました。この3つがいいディフェンスにつながる。今は一番とは言い難いのですが、その3点を鍛えて今後ディフェンスで一番と言われるようにしていきたいと思っています」

東京Zに植えつけようとしているのは責任感

 古田HCの頭には、昨シーズンのB2東地区で54勝6敗という圧倒的な勝率を残した秋田ノーザンハピネッツの存在がある。「ディフェンスの良いチームは崩れない」と古田HCが言うように、秋田の強さの象徴は1試合平均失点67.7という強固なディフェンスだった。東京Zの失点数はそれよりも10点以上多い77.9。リーグの中では中位に位置する数字ではあるが、改善の余地がある数字であることも確かだ。

 特に古田HCが強調するのは個人のディフェンス。コート上の5人で1つのボールを守る、いわゆるチームディフェンスは当然重要になってくるが、まずその前に、個々のディフェンス能力がベースになければならないというのが古田HCの考えだ。

「もちろん開幕までにチームディフェンスを作っていくことになりますが、基本として1対1で守ることができればヘルプディフェンスはいらないと、選手たちにも言ってあります。抜かれてしまうからヘルプディフェンスが必要になるだけであって、抜かれなければチームディフェンスをやる必要もないので、自分で処理できるところは処理してほしい。ピック&ロールのように2対2になる場面でも、ボールマンのディフェンスがファイトオーバー(編注:スクリーンプレー時にドリブラーとの距離をつめるディフェンス)でついていければ、ショウディフェンス(編注:スクリーンプレーに対するコンビネーションディフェンス)もトラップ(編注:方向付けしてわざと抜かれたふりをしてボール保持者をエンドラインへ追いやりダブルチームをかけるディフェンス)もしなくていいんです」

 1対1で抜かれずに守ることは、もちろん簡単ではない。だが、ディフェンスへの意識だけでなく個人で守る“責任感”も植えつけるという意味で、古田HCの考え方は大事にしなければならないものだろう。

「今シーズンこそは」という気持ち

 シーズン開幕を前に、チームはプレシーズンゲームや練習試合を数試合こなしている。9月3日のB3東京サンレーヴス戦では、開始直後から強度の高いプレッシャーディフェンスで相手のターンオーバーを誘い、速攻でのイージーバスケットを連発した。ここまでの出来には、古田HCも一定の手応えを感じている様子だ。

「トラップをかけるのは体力的に大変ですが、その分、相手も相当疲れる。川崎ブレイブサンダースとの練習試合でも、相手に主力がいなかったとはいえ、ディフェンスの出来は遜色なかったし、人数が少ない中でも一生懸命やってくれていて、自信になっていると思います」

 前述した通り、昨シーズンの東京Zは地区最下位。それだけに選手たちは「今シーズンこそは」という気持ちを強く持っている。就任1シーズン目で昨シーズンのチームを知らない古田HCも、思いは同じである。

「選手たちも勝ちたいという思いで頑張ってくれていますし、僕も昨シーズンは横浜ビー・コルセアーズで良い成績を挙げられなかったので、今はその悔しい思いをぶつけているところです。負けていても応援してくれている人たちの存在は大きいので、今シーズンはファンの人たちの笑顔を見たいですね」

 今の東京ZがNo.1と言えるものは、「リベンジを期す思いの強さ」なのかもしれない。

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