新井引退を惜しむカープナインの言葉 寂しさと責任感を自覚する後輩たち

ベースボール・タイムズ

大瀬良「ストレートに話してくれる」

6月1日のロッテ戦、好守を見せた新井(左端)を笑顔で出迎える大瀬良(中央) 【写真は共同】

 今季、ここまで自己最多を大きく更新する15勝をマークしている大瀬良大地も例外ではない。「どんな時でも、体は大丈夫かと心配してくれたり、色々な話をしてくれた。投手、野手に関わらず、みんなに声をかけてくれていた」と感謝する。

 今季の飛躍にも、新井の存在があった。「黒田さんを交えて話をした時、野手目線からの感想などを話してくれた。昨年のオフには、守っている立場からすれば、投球テンポを考えた方がいいなどと、具体的なアドバイスをもらって、それが今年の成績につながっていると思う」と秘話を明かした。「言いにくいことでも、ストレートに話をしてくれる。そういう人はなかなかいない」という大ベテランは、伸び悩んでいたエース候補にとって、貴重な存在だった。

話を聞いていた石原「ついに来たか」

 盟友である黒田博樹には報告していた、という新井がもう一人、引退を知らせていたのが石原慶幸だった。新井が阪神移籍前からの同志で、移籍後もシーズンオフには黒田を交えて、毎年のように広島で食事をしていた。引退会見で新井が「(引退を告げた時)言葉には出さず、ショックそうな顔だった」と明かした石原は「ちょっと前から話は聞いていたが、ついに来たか、という感じだった」と、現実となってしまった引退を惜しんだ。

 かつてのエースと4番の復帰がチームを変えたという認識は、石原も同じだ。「黒田さんと新井さんが帰ってきた時、チームの雰囲気がガラッと変わった。また2人とプレーできたのは嬉しかった」とリーグ連覇の礎となった契機を話した。「2人の野球に取り組む姿勢が、練習でも試合でも、ワンプレーを見るたびに若い選手の刺激になった」とリーグ連覇につながった力だと石原は強調する。「これがカープのいいところだと思うので、自分たちも受け継いでいきたい」という黄金時代を再び築いた2人のイズムは、3連覇とさらにその先へ、後輩たちに継承されていくはずだ。

會澤「さびしいという言葉しかない」

 新井に「お前がやれと言われて、やらなければいけないという気持ちになった」という選手会長の會澤翼の言葉が、残される選手の気持ちを代弁している。「困った時、苦しい時に、いい言葉をたくさんいただいた。来年から一緒にやれないのかと考えると、さびしいという言葉しかない」それでも、躍進したチームは足を止めるわけにはいかない。「来年以降も安心して見てもらえるような戦いをしていきたい」と残り試合の決意を語った會澤は、オフに恒例となっている「護摩行には来い、って伝えといてください」と最後に冗談めかして報道陣に言い残し、さびしそうに笑った。

(大久保泰伸/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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