アジア大会「金メダルは絶対」と韓国 兵役免除にマジな精鋭たち&宣銅烈監督

室井昌也

リー・ジョンボム長男ら打線は粒ぞろい

現在首位打者の李政厚(イ・ジョンフ)。父の李鍾範(日本での登録名はリー・ジョンボム)が中日在籍時に誕生した名古屋生まれだ 【写真:ストライク・ゾーン】

 駒不足の感が否めない投手陣に対して打線は強力だ。過去に4年続けて本塁打と打点のタイトルを手にし、今年も33本塁打をマークする朴炳鎬(パク・ピョンホ=ネクセン)、15年のプレミア12ではMVPを獲得し、対戦した大谷翔平(現エンゼルス)が「一番良い打者だと感じた」として、160キロ台の速球を連投した左打者、リーグ打点1位の金賢洙(キム・ヒョンス=LG)が中軸に座る。

 この他にも朴炳鎬とともにリーグ2位の本塁打数を誇る、左の金宰煥(キム・ジェファン=斗山)、また昨年11月に東京ドームで行われた24歳以下が中心の大会、アジアプロ野球チャンピオンシップで薮田和樹(広島)から一発を放った金ハソン(キム・ハソン=ネクセン)ら長打力のある選手が並ぶ。

 長打力以外にも打率3割7分8厘でリーグトップに立つ李政厚(イ・ジョンフ=ネクセン)の他、足のある選手も少なくない。李政厚はチーム最年少の20歳。アジアプロ野球チャンピオンシップでも代表入りし、父が元中日の李鍾範(イ・ジョンボム/当時の登録名はリー・ジョンボム)コーチということで注目された選手だ。

他国と明らかな実力差も油断なし

韓国を率いる元中日の宣銅烈監督。継投策には定評がある 【Getty Images】

 社会人代表で構成される日本、アマ選手とプロの若手主体のチャイニーズタイペイ、この両者と韓国は明らかに実力差がある。しかし宣監督は常々こう口にする。「日本の投手は基本的な能力が高い。プロ、アマ問わずコントロールが良く、フィールディングや牽制球もうまい」。投手出身で日本をよく知る宣監督は日本代表を単なる格下とは見ていない。

 今回の24選手のうち兵役の義務があるのは9人。ということでその9人だけが必死で戦うと思われがちだがそうではない。梁ヒョン種、金賢洙、黄載鈞(ファン・ジェギュン=KT) 、孫兒葉(ソン・アソプ=ロッテ)は過去の五輪、アジア大会で自身の兵役が免除された選手だ。彼らはかつて先輩たちが全力で戦ってくれたように「後輩に免除恩恵をもたらしたい」と口を揃える。

 10年の中国・広州、14年の韓国・仁川(インチョン)の両大会で韓国は金メダルを獲得したが、いずれも予選同組のチャイニーズタイペイに勝ち、準決勝で中国に勝利。決勝戦でチャイニーズタイペイと再戦し勝って優勝というパターンだった。しかし今回は準決勝に代わり、予選別組の1、2位と対戦するスーパーラウンドが設けられた。投手起用は以前より難しくなっている。

 宣監督得意の継投策、それに応える投手陣。そして「金でなければ絶対にダメ」と意気込む熱意が韓国3連覇への大きなポイントとなる。

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著者プロフィール

1972年東京生まれ。「韓国プロ野球の伝え手」として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。また編著書『沖縄の路線バス おでかけガイドブック』は2023年4月に「第9回沖縄書店大賞・沖縄部門大賞」を受賞した。ストライク・ゾーン代表。

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