冨安は「ベルギーで最高のタレント」!?
本人は反省しきりも、監督は最大級の評価

ロケレン戦はワンプレーに泣いた冨安

ロケレン戦で、冨安は良いプレーを続けていたがワンプレーに泣いた
ロケレン戦で、冨安は良いプレーを続けていたがワンプレーに泣いた【Francois Walschaerts/共同通信イメージズ】

 一方、センターバック(CB)の冨安健洋は試合後、うなだれていた。0−0で迎えた78分、左サイドで前にプレッシャーをかけようとした裏を突かれてロケレンのウインガー、フース・フッペルスに独走を許し、先制ゴールを決められてしまったのだ。直後のキックオフ時に冨安はチームメートに向かって「すまん」と右手を上げた。


「あの時は(フッペルスとの)1対1でカバーもなかった。通常であればカバーがいたと思いますが、チームが前掛かりになっていましたし……。ホームなので勝ち点を取りにいっている状況で、本当に『一発だけは集中しよう』と思っていたんですけれど……。これまでも、代表活動で海外に来て、そういう形でやられてきたので……。本当に、あの一発だけという感じですね」(冨安)


 DFとは本当につらいポジションで、89分間良くても、たった一度のミスでチームの結果の責任を負うことがある。ロケレン戦の冨安はまさにそうで「このワンプレーがなければ上々だったのに……」という一日だった。

冨安は反省の弁を繰り返すが……

STVVのマルク・ブライス監督は「冨安にとても満足している」と語る
STVVのマルク・ブライス監督は「冨安にとても満足している」と語る【Getty Images】

「もっと縦にパスをつけないといけなかった」(第1節のセルクル・ブルージュ戦後)


「相手の14番に完全にやられてしまった。相手がうますぎた」(第2節のゲンク戦後)


「僕の判断ミスだった」(第3節のロケレン戦後)


 冨安はいつも試合後、反省の弁を繰り返す。彼の言葉にはうそがなく、確かにその通りなのだが、私には彼のチームに対する貢献度の方が、はるかに勝っているように感じられるのだ。ここは一旦、マルク・ブライス監督の言葉に耳を傾けた方が良いと、私は思った。


「マルクさん、こんばんは。実は冨安が試合後、いつもうなだれて自分を責めているのですが、どうでしょう。あなたの冨安に対する、ここまで(3試合合計)270分間の評価を教えてほしい」 


 ブライス監督は、私の予想通りの返事に、1つのサプライズを加えてくれた。


「19歳のCBが3試合違ったシステムの中で本当に素晴らしいプレーを見せている。性格も、サッカーへの取り組み方も良く、ベルギー国内で最高のタレントだ。昨季、1分しかプレーしなかったプレーヤーが、立派なパフォーマンスを披露しているんだ。私は冨安にとても満足している」


 ブライス監督は、毎試合異なるシステムの中で、冨安が難なくプレーしたことも褒めていた。


 開幕戦では4バックの右CB。第2節では3バックの右を務め、オールコートプレスを実行した。第3節も引き続き3バックの右だったが、チーム戦術は完全にポゼッションに切り替わった。さらに、後半途中から冨安は左CBに場所を移していた。その間、STVVは2失点。ブライス監督が冨安に合格点を与えたことは、私にとって想定していた通りだった。


 だが、「ベルギー国内で最高のタレント」という一言には驚いた。アタッカーに比べて、CBには華がない。しかし、見ている人は見ているというポジションでもある。冨安は玄人受けするタレントなのかもしれない。

中田徹
中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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