冨安は「ベルギーで最高のタレント」!? 本人は反省しきりも、監督は最大級の評価
ロケレン戦はワンプレーに泣いた冨安
ロケレン戦で、冨安は良いプレーを続けていたがワンプレーに泣いた 【Francois Walschaerts/共同通信イメージズ】
「あの時は(フッペルスとの)1対1でカバーもなかった。通常であればカバーがいたと思いますが、チームが前掛かりになっていましたし……。ホームなので勝ち点を取りにいっている状況で、本当に『一発だけは集中しよう』と思っていたんですけれど……。これまでも、代表活動で海外に来て、そういう形でやられてきたので……。本当に、あの一発だけという感じですね」(冨安)
DFとは本当につらいポジションで、89分間良くても、たった一度のミスでチームの結果の責任を負うことがある。ロケレン戦の冨安はまさにそうで「このワンプレーがなければ上々だったのに……」という一日だった。
冨安は反省の弁を繰り返すが……
STVVのマルク・ブライス監督は「冨安にとても満足している」と語る 【Getty Images】
「相手の14番に完全にやられてしまった。相手がうますぎた」(第2節のゲンク戦後)
「僕の判断ミスだった」(第3節のロケレン戦後)
冨安はいつも試合後、反省の弁を繰り返す。彼の言葉にはうそがなく、確かにその通りなのだが、私には彼のチームに対する貢献度の方が、はるかに勝っているように感じられるのだ。ここは一旦、マルク・ブライス監督の言葉に耳を傾けた方が良いと、私は思った。
「マルクさん、こんばんは。実は冨安が試合後、いつもうなだれて自分を責めているのですが、どうでしょう。あなたの冨安に対する、ここまで(3試合合計)270分間の評価を教えてほしい」
ブライス監督は、私の予想通りの返事に、1つのサプライズを加えてくれた。
「19歳のCBが3試合違ったシステムの中で本当に素晴らしいプレーを見せている。性格も、サッカーへの取り組み方も良く、ベルギー国内で最高のタレントだ。昨季、1分しかプレーしなかったプレーヤーが、立派なパフォーマンスを披露しているんだ。私は冨安にとても満足している」
ブライス監督は、毎試合異なるシステムの中で、冨安が難なくプレーしたことも褒めていた。
開幕戦では4バックの右CB。第2節では3バックの右を務め、オールコートプレスを実行した。第3節も引き続き3バックの右だったが、チーム戦術は完全にポゼッションに切り替わった。さらに、後半途中から冨安は左CBに場所を移していた。その間、STVVは2失点。ブライス監督が冨安に合格点を与えたことは、私にとって想定していた通りだった。
だが、「ベルギー国内で最高のタレント」という一言には驚いた。アタッカーに比べて、CBには華がない。しかし、見ている人は見ているというポジションでもある。冨安は玄人受けするタレントなのかもしれない。