マラソン園田隼「暑いほど分がある」 アジア大会に向け高橋尚子さんが聞く
暑くなればなるほど、自分に有利
きつい練習の中で「精神的なスタミナ」もつけている園田。過酷な条件になればなるほど、有利になってくる 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
園田 (9月開催の)MGCは暑くなるので、暑いレースを経験しなければと思い、アジア大会でそういう経験をしておかないと勝てないかなと思っています。
渋谷 彼の目標として東京五輪があるので、出場してメダルを取るという大きな目標から逆算し、アジア大会で日の丸をつけて真剣勝負をさせたいと思いました。しかもコンディションが暑く、東京に似ていると聞いたので、「ここで経験させておかないと」と思いました。2年後の東京五輪でメダルを取るには、この大会でメダルを取ることが目標になりました。
高橋 私も五輪の2年前の経験が大きな経験になり、それまでのレースの中で一番やり切ったレースがアジア大会だったと言えるほどです。そこで自信になったのですが、このアジア大会でどんなことをつかみたいですか?
園田 暑い中でもしっかり走りたいです。それこそ高橋さんは98年のバンコク大会がターニングポイントとなり、そこから一歩踏み出されたと思いますが、僕もターニングポイントにしたいと思います。
高橋 園田選手はマラソンで日の丸を付けるのは初めてですが、その思いはありますか?
園田 日の丸を付けるのでしっかり結果を残さないといけないとは思うのですが、あまり深く考えると空回りしてしまうので、まずは自分の力をしっかり発揮したいと思います。
高橋 園田選手の走りを見ると、非常にダイナミックな走りをしていると思います。渋谷監督から見て、マラソンの適正能力や強さはどうですか?
渋谷 彼の一番のポイントは体が強いこと、練習が積めることです。マラソンではその適正能力が高いのが大事だと思っています。
高橋 どんな練習をされているのですか?
渋谷 最初の頃はロードでの40キロ走ができなかったので、そういう時に、まずはトラックで4万メートルを走らせました。
高橋 トラックで4万メートル! 絶対やりたくないですね。(笑)
渋谷 距離に対するスタミナは、走って鍛えるだけではなくて、精神的なものに対して鍛えます。距離に対する不安をなくしたり、精神的なスタミナを付けるということをやりました。
高橋 距離の40キロだけなら、なんとかなると思いますけど、トラックの4万メートルはなかなか精神的にきついですよね?
園田 最初は本当にやるのかなと。(走っている時は)ちゃんとラップ表示をしてくれていたのですが、自分の感覚で数えて走りました。監督からその練習をしろと言われたらやるしかないですし、それは心の準備をして、走る気持ちを作る感じです。
高橋 心の動揺などはなくなりましたか?
園田 嫌だというよりも、「やるしかない」と思って走るほうが効率的ですね。
高橋 そういう部分で精神的にも強くなるわけですね。
渋谷 そうですね。4万メートルだけでなくて、本当に長い距離をどれだけできるかと、3キロのコースを20周走らせたり、50キロ走をやってみたり、わざと本人が嫌なことをやらせて、それをクリアしていくことで、体だけのスタミナじゃなくて、精神力的なスタミナがついたと思います。
高橋 嫌なことを探して練習を作るのも大変ですね。もう精神力は高まってきたのですね。
渋谷 精神力も高まりましたし、体もそれに伴って強くなりました。
高橋 それが別大マラソンの2時間10分切りにつながったんですね。
渋谷 あの時は悪条件だったので、風速5メートル、6メートル、気温も0度近くて、その中で我慢強さはつきました。
高橋 そういう逆境に強いという意味では、次のジャカルタは暑いわけですが、暑さに対する自信はどうですか?
園田 あります。
高橋 暑ければ暑いほど、寒ければ寒いほどいいという感じですか?
園田 そうですね。良いコンディションのレースだとみんな同じですから。(悪条件に)傾けば傾くほど、こちらに分があると思います。
アジア大会 8月19日〜30日
TBS系列連日生中継
男子マラソンは大会8日目25日朝7時30分から