【UFC】大激戦必至、ライト級因縁のリマッチ セミでは“レジェンド”アルドが復帰戦
エディ・アルバレス(右)とダスティン・ポワリエ(左)の因縁のリマッチが実現 【Zuffa LLC】
前回は無念の不透明決着
現在ライト級ランキング3位のアルバレスはその後、UFC公式サイトが17年の最優秀試合ベスト10で第2位に選出したジャスティン・ゲイジー戦(「UFC 218」、17年12月)でノックアウト勝ちを収めた一方、ランキング4位のポワリエは同じく年間最優秀試合第4位に選ばれているアンソニー・ペティス戦(17年11月)、ジャスティン・ゲイジー戦(18年4月)で連続テクニカルノックアウト勝利を挙げている。ますます脂が乗ったパフォーマンスでそれぞれに激闘を制し、タイトルにより近づいた2人による因縁の再戦は意地がぶつかりあう、まさに負けられない戦いだ。
対照的な生きざま、負けられない理由
戦う理由が対照的な2人。トップコンテンダー同士のつぶし合いはどんな結末を迎えるか 【Zuffa LLC】
「世界王者になったらベルトを腰に巻いたままベッドに入り、妻に『とうとうやったぞ』と言いたいんだ。10年前、車も持っていなかった俺を、妻は計量会場まで運転して送ってくれた。それから、ボロボロのモーテルで眠って翌日に試合に出かけたものだ。いつも2人きりだった。だから俺は妻に言いたいだけなんだよ。ついにやったぞ、ってね」
一方の“ジ・アンダーグラウンド・キング”ことアルバレスは次のように語っている。
「オレはこれまでに、多くの団体でベルトを取ってきた。ベルトがあろうがなかろうが、オレはすでにチャンピオンなんだ。オレにとって大事なことは暴力的であること。それが見る人を魅了し、興奮させるからだ。どちらの技術が優れているかとか、レスリングがどうだ、柔術がどうだといった戦術的なことではなくて、みんなが共感したり感動できたりするスピリチュアルな戦いをしていきたい。そんなプロセスを自分が楽しめれば、結果は付いてくると思っている。今回はオレが持っている“MMA業界で最も暴力的な男”というタイトルの防衛戦なんだよ」
名勝負製造機の2人による戦いはトップコンテンダー同士のつぶし合いでもあり、男の生きざまの激突でもある。ファンはどちらの生きざまを支持するだろうか。いずれにしても間違いないのは、とんでもない大激戦は必至だということだ。
引退を乗り越えて、アルド復活
引退まで考えたというアルド(右)。完全復活となるか 【Zuffa LLC】
WECとUFCのフェザー級トップの座に君臨し、都合9度のタイトル防衛に成功したレジェンドのアルドも、昨年は現王者マックス・ホロウェイ(米国)に2度にわたってノックアウト負けを喫し、一時は真剣に引退も考えたという。
「試合後は2週間ばかり家族だけと過ごし、自分の処し方を考えた。それからジムに行き、引退すべきかどうか、コーチや仲間とじっくり話し合った。結果、現役を続行することに決めた。その翌日から練習を再開したんだ」
実に9年ぶりのノンタイトル戦出場に、「長年タイトルマッチばかりを戦ってきたから、少し寂しい気持ちはある」と語るアルドの目標はあくまでも王座奪還だ。
「自分にはまだ十分、タイトルに挑戦する力があると思っている。技術も意欲もあるんだ。そのために毎日練習をしている」
「アルドの魂を抜いてやる」とスティーブンス
UFC戦績は11年間で28戦15勝13敗、試合数でUFC史上第2位、負け数でUFC最多記録を持っているのがスティーブンスだ。ノックダウン数(19)もアンデウソン・シウバ(ブラジル)と並んで史上第1位というから、勝ち負けよりもむしろ、身体を張ったエキサイティングな試合が人気のファイターだったのだが、ここにきて確実性も急上昇してきている。
「UFC 226(18年7月)」では急きょ欠場となったホロウェイの代役として、ブライアン・オルテガ(米国)と暫定王者決定戦を戦うのではないかとの報道も流れるほど、タイトルショットに肉薄しているスティーブンスだが、もちろん今は、目の前にいる過去最強の敵、アルドに全神経を集中させている。
「アルドはもう、ずっと変化がない男だ。コナー・マクレガー(アイルランド)に身体を壊され、ホロウェイに心を折られている。今回はオレがヤツの魂を抜いてやる。あの顔を見てみろ。もう疲れ切っている。オレはヤツの今の姿を満天下にさらしてやるつもりだ。これは口先だけの話じゃないんだぞ。ヤツをさらし者にしてやる。オレが言っている意味は、試合後によく分かるだろう」
元絶対王者のヨアンナ・イェンドジェイチェク(右)はテシア・トーレスと対戦する 【Zuffa LLC】
(文:高橋テツヤ)
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