“平成の怪物”が挑む“平成最後”の球宴 ファン投票トップ・松坂の勇姿に期待

ベースボール・タイムズ

投手MVPは延べ14人のみ

【ベースボール・タイムズ】

 そもそも、長くて3イニング登板という制限された中で、投手がMVPを獲得するのは非常に難しい。過去171試合が行われているが、野手MVPが述べ155人に対し、投手は延べ14人(該当者なしが2試合)しかいないのだ。

 名前を挙げると、林義一(1951年)、金田正一(60年、64年)、スタンカ(64年)、江夏豊(70年、71年、80年)、江川卓(84年)、村田兆治(89年)、川上憲伸(98年)、松坂大輔(2004年)、前田健太(12年)、澤村拓一(13年)、藤浪晋太郎(15年)となり、今年、松坂がMVPを獲得すれば、金田正一、江夏豊以来、史上3人目の複数回受賞となる。

 通算成績に不満は残るが、MVPを1度獲得していることも事実。150キロを超えるスピードボールと鋭いスライダーで勝負していた若かりし頃から、右肘にメスを入れ、37歳となった現在は、カットボールを主体として投球スタイルに変化している。“衰え”ではなく“変身”であることを証明し、オールスターとの相性の悪さを解消してもらいたい。

3回1安打無失点3三振が条件!?

【ベースボール・タイムズ】

 では、どうすればMVPを獲得できるのか。松坂が生まれた1980年以降のオールスターでのMVP投手6人の成績を平均すると「2.63回」、「0.88安打」、「無失点」、「3.25三振」という数字が浮かび上がる。

 まずは無失点に抑えることが絶対条件になる。1点差の最終回に登板して3者連続三振でセーブを記録した80年の江夏豊の例があるが、先発の松坂にとっては3イニングを投げて無失点に抑えることができれば有力候補になる。問題は、故障明けでの“ぶっつけ登板”であること。2イニング、あるいは1イニングのみで降板することも考えられるが、その場合は自身が04年にMVPを獲得した時のように、多くの三振を奪う必要がある。

 勝敗、スコアにも左右されるだけに、松坂の2度目のMVP獲得のハードルが高いことは間違いない。だが、「平成の怪物が平成最後のオールスターでMVP獲得」という絵に描いたような出来事があってもいいではないか。時代を象徴する「松坂大輔」にロマンを追いかけても、いいではないか。それこそ、夢舞台である。

(構成・文:三和直樹、グラフィックデザイン:山崎理美)

オールスター第1戦での先発が決まっている“平成の怪物”こと松坂が平成最後のオールスターで2度目のMVP獲得なるか!? 【写真は共同】

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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